NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:劇場にて「残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―」を観てまいりました。

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 小説家でホラー雑誌に連載を持つ「私」は、ある日、賃貸マンションに住む女子大生の久保さんから『部屋から床を掃くような奇妙な物音が聞こえる』という投稿の手紙を受け取る。

 最初はよくある心霊体験のひとつだと思い、あまり気に留めていなかった「私」だったが、とあるきっかけから過去に同じような内容の投稿が同じマンションの別の部屋の住人からされていた事を発見。

 2つの心霊現象になんらかの繋がりがあるのでは無いかと感じた彼女は、久保さんと協力して過去の事件を調べていくが、過去に同じ部屋に住んでいた住人がノイローゼになって転居したり、転居後に自殺をしたりしている事を知る。

 部屋にまつわる現象の過去を探るうちに『マンション自体の建っている土地』に何かの由縁があるのではないか考えた彼女たちは、土地にまつわる過去の情報を調べ始めるが、やがて、その場所にまつわる恐るべき事実が次々と判明していくのだった…

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 劇場にて残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―」を観てまいりました。

 このところ空振りに続いていたJホラー系の作品ですが、これは久々に本気で『面白かった』&『怖かった』と言って良いレベルの良作Jホラー映画でしたよ。

 本作は、劇場で予告を見た際に『なかなか面白そう』と感じたのですが、その予告で感じた期待どおりに楽しめる作品でしたよ。

 本作の予告はなかなか要点を捕らえて秀逸な出来だと思うので、まずは予告を見て興味が沸いたなら観ておく価値があると思います。



 映画の内容に関しては『ホラー作家の主人公がとある読者からの投稿を調査していくうちに、過去に起こった恐ろしい事件へと辿り付いていく』って感じの展開で、設定だけ聞くと割とありがちな感じなんですが…

 とにかく謎解きのプロットが非常に面白いんですよ。

 とあるマンションの一室で起こるという『珍しくも無いような怪奇現象』を調べていくうちに、次々と連鎖的に『とんでもない事実』が発覚していくという流れが判明していくという流れが秀逸で、矢継ぎ早に発覚していく新たな新事実が最終的に一本の線として繋がっていくという展開は、オカルトとしてもミステリーとしても普通に面白いです。

 またかなり色々な伏線が仕込まれているため、ホラーとしてはネタを詰め込み過ぎな感もあるのですが、逆にその各エピソードの『中途半端な投げっぱなし具合』が妙なリアリティをかもしだしており、本作の『実録ホラードキュメンタリー』っぽい本作の作風とマッチしているのも良い感じ。

 あまり詳しくストーリーに触れるとネタバレになってしまうので控えますが、中盤ぐらいまでは『ちょっと地味』な話のように感じる部分もあるのですが、中盤以降の淡々としたリアルなエピソードを積み重ねる事によって作り出された『逃げ場の無い怖さ』はなかなか一見の価値あり。
 (特に終盤の『どこまで続くんだよ!』って感じの負の連鎖と絶望感が素晴らしい…)

 また鑑賞後に残る何とも言えない『薄気味の悪さ』と『不気味さ』が非常に良い感じで、絶妙なリアルさのあるストーリーのせいで、見終わった後の夜道とかで久々に『暗闇』とか『物音』にビクビクしてしまいましたよ…


 ただ前述のとおり、ストーリーやミステリーの要素は面白いし抜群に怖いのですが、『絵的(映像的)な怖さ』が殆ど感じられないのは本作の最大のマイナス点かなぁ?

 特に見せ場となる筈の『幽霊』の登場シーンにあまり迫力が感じられないため、山場のシーンが逆にチャチな印象になってしまっているのは残念なところ…

 これでもうちょっと映像センスが良くてもっと『怖い映像』を作れていたら、Jホラーでの『最凶ホラー』の一角に入れたかもしれないのに、非常に惜しいです。
 (むしろ『ハリウッド辺りでリメイクされて、映像が強化されたバージョンを作ってくれんかなぁ?』とか思ってみたり…)


 総評としましては、久々に『純粋に怖くて面白いと感じたJホラー映画』って感じの作品です。

 Jホラー好きで、特に『実録系(ドキュメンタリー風)のホラー番組』とかが好きな人ならば間違いなく楽しめる一本だと思いますので、そういうのが好きな人なら文句無くオススメですね。
 (全体的に淡々としているので、逆に派手な展開が好きな人だとちょっと物足りなさを感じるかも?)

 宣伝が良くないのか、あまり話題にもならず評価をされていない作品のようですが、個人的には久々のJホラーの傑作だと思うので、もっと評価されて欲しい映画って感じですよ。