NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「パラドクス」(15点/サスペンス)

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■■■「パラドクス」■■■
(15点/サスペンス)

 犯罪に手を染めるカルロスとオリバーの兄弟は、ある日、彼らの事を逮捕するために訪れた刑事に追われてビルの非常階段へと逃げ込む。

 彼らの後を追って刑事も階段室へと向かうが、階段を9階から1階まで降りたところ、何故か『1階の下が9階へと繋がっている』という階段が無限に続く奇妙な状態のうえにドアが開かず外に出れない状況になっており、彼らは自分たちが無限に続く階段室に閉じ込められてしまった事を知る。
 更に逃走中に足を撃たれた兄が瀕死の状態となってしまい、3人は途方に暮れてしまう。

 別れた夫の元に子供たちを連れて遊びに行くべく恋人の車で出発したサンドラは、ハイウェイの途中で娘がアレルギーの発作を起こしてしまった事から慌てて引き返そうとするが、いつまでたっても同じ一本道をループして走り続けている事に気付く。
 彼女は娘の命を救う為に、なんとかしてこの世界から脱出しようとするが…

 果たして彼らは、この奇妙なループの世界から抜け出す事ができるのか…



 『ループする閉じた世界』に閉じ込められてしまった2組の人々が、なんとかして奇妙な世界から脱出しようとするという、シチュエーションスリラー風のサスペンス映画。

 謎のループ世界に閉じ込められた人たちの姿を描いた、ちょっとSF風味のお話なのですが、なんと言うか『良く分からないお話』としか言いようが無いような作品ですね。

 本作をネタバレなしで感想を書くのは非常に困難なので、バンバンとネタバレする覚悟で感想を書いてしまいますが…

 (以下、ネタバレが嫌な人は読まないように注意!!)



 いわゆる、この手の閉鎖世界的な作品にありがちな『内宇宙』的なネタというか、そういうノリのお話なのですよ…

 まあ内宇宙ネタなんてSFではありがちな設定ですので、世界観やらお話自体の設定はまあまあ理解できるものの、端的に言うと『この作品がいったい何を描きたいのか』がサッパリ分からないんですよね。

 導入で『主人公たちが閉鎖世界に閉じ込められました…』となって、最初のうちは脱出の手段を探したり世界の謎を解こうとしたりとマトモに話が進むのですが…

 結局、謎が解けずに次のシーンでは唐突に35年後になって、閉じ込められた一人が『老衰で死ぬ直前になって思い出した』とかで急にこの世界の秘密を語りだすという唐突すぎる超展開。

 その35年の間(まあ本編では60分ぐらいですけど)にサスペンス的な緊張感のある要素も殆ど無いですし、盛り上がるような展開も無し謎解きもあまりに唐突過ぎてカタルシスも何も無し。

 謎解きの内容も、『過去に心に負った自責の念に捕らわれたせいでループする世界に閉じ込められた』みたいなオチなんですけど、35年経ってから唐突にそんな話を聞かされても、登場人物も視聴者も『どないせえって言うんじゃ?』としか言いようが無いと思います。

 お話の流れも全体的にダラダラしすぎでテンポが悪いですし、年寄りとかの描写も矢鱈と汚らしくて不快感しか感じられない(まあ35年間、まともに身だしなみを整ええられないのだから不潔なのは仕方無いですが…)ですし、オチも結局何が言いたいのか良く分かりませんし、とにかく観ていてナチュラルにツマんないという以上の感想が出て来ない作品でしたよ…


 総評としましては、微妙すぎて『なんじゃコリャ?』という以外の感想が全く思いつかないような作品です。

 若手の三文小説家が慣れないながらに書いた『良く分からない内宇宙物のSF小説』を延々と読まされているみたいな感じで、なんというかとにかく観ていて辛かった…

 パッケージを見るに、色々な映画祭で評価された作品っぽいので、人によっては楽しめるのかもしれないので、気になるならチェックして見るのを止める事はしませんが、個人的にはちょっと面白さが理解できない一本でしたよ。