NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「死霊のいけにえ」(60点/バイオレンス:結構オススメ(ただし人を選ぶ))

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■■■「死霊のいけにえ」■■■
(60点/バイオレンス:結構オススメ(ただし人を選ぶ))

 NYに住む娼婦の4人組は、ある日、自分たちの元締めであるギャングの大物どうしの会合で大きな取引があるというウワサを聞き、会合の場所を襲撃しギャング達に復讐を果たしつつ大金を奪う計画を実行。

 会場でギャングとその取りまきを皆殺しにした彼女たちは、取り引き相手と思われるヒッピー風の男性を拉致し、その男性から金のありかを聞き出すために山中の別荘へと監禁する。

 しかし男は金は持っておらず、しかも自分の事を『アンチキリスト(悪魔の子)』だと名乗り、更にはその不思議な力によって彼女たちを自滅へと導いていくのだった…



 アンチキリストを名乗る不思議な男を誘拐した4人の娼婦が、男の持つ奇妙な力に翻弄されて破滅へと導かれていくという、バイオレンスホラー映画。

 販売メーカーを特に確認せずに借りてみたところ地雷請負メーカーである「アサルトワン」の配給作品という事で、『これは失敗したか?』と思いきや、これが低予算ながらも意外と良く出来たバイオレンスホラー映画でした。

 タイトルには「死霊のいけにえ」なんて付いてて、いかにもスラッシャーホラーかゾンビものっぽい印象を受けるパッケージになっていますが、実際にはそういう要素は殆ど無くて、どっちかと言うと『ギャング同士の内ゲバを描いたバイオレンスもの』といった感じの内容です。
 (ただアンチキリストが登場したり、アンチキリストに操られた人間がゾンビみたいになったりするので、一応はオカルト要素やゾンビ要素はあるかも?)

 お話としては、『4人の娼婦がギャングの集会場から拉致してきた男が実は「アンチキリスト」で、男の持つ不思議な力によって仲間割れしたり自傷行為を行ったりして自滅へと導かれていく』という感じの内容なのですが…

 恐らくは本作の最大のウリであると思われる、この『女同士の戦いのバイオレンス描写』がなかなかに強烈なんですよ。

 殴る、蹴る、銃で撃つ、刃物で斬り付ける、鈍器で殴るなんてのは当然で、壁や石段に頭を叩き付けたり、指や耳を食いちぎったり、目潰ししたり、釘付きの角材を脳天に突き刺したりと、『本気で相手を殺す気でもそこまでやらんだろ!』って感じの痛そうな描写の連発。

 言葉にすると引いちゃうぐらいに残酷なんですが、バイオレンス描写が過激すぎて逆にギャグのような領域に達してしまっているので、カラっと笑いながら見れてしまうのは良い感じ。

 なんか『やりすぎゴアホラー映画』のバイオレンス版みたいな感じなんですが、なんでも本国でFANGORIA誌で絶賛されたそうで、『確かにFANGORIAとかが好きそうなノリだわ…』って感じです。

 お話の方も単に女同士が争うだけの中身の無い作品ではなく、『実はアンチ・キリストには本当の目的があって…』みたいな感じでちょっと捻りが効いており、最後までオチがどう転ぶのか全く先が読めない展開なのも面白い。

 このアンチ・キリストのキャラクターもなかなか良い味を出しており、『悪役なのに思わず応援してしまいたくなるようなキャラ』なのも良い感じです。

 ただ設定やアイデアは面白いのですが、いかんせん低予算なので全体的に物凄く安っぽい事や、乱闘シーンになるとゴチャゴチャとカメラが切り替わりすぎて何が起こってるんだが訳が分からなくなったりするのは、いかにも素人臭くてB級というかC級ぐらいの映画という印象。

 また『過激すぎるバイオレンスシーン』も、そういうのが苦手な人にはちょっと受け入れ難いノリだと思いますので観る人はかなり選ぶ作品ではないかと…

 あと序盤の展開も、人間関係とか何がどうなってるのかが非常に分かり辛いので、もうちょっと分かりやすい構成の方が良かった気がしますよ。


 総評としましては、『低予算作品ながらも、なかなかに良く出来たバイオレンスホラー映画』って感じの作品です。

 過剰に過激なバイオレンス描写やらかなりゲスな登場人物やらと見る人を選ぶ要素の強い作品ではありますが、そういう『ブラックで笑える過激なバイオレンス作品』というノリに興味があるならば、とりあえず観ておいて損は無い作品だと思いますよ。

 パッケージが地味すぎ&タイトルがありがち過ぎてスルーされてしまいそうな作品ながらも、個人的には予想以上に楽しめた一本でした。