■■■「グリーン・インフェルノ」■■■
(65点/パニック)
ある日、過激な慈善活動をしている大学生のグループの活動に加わる事なったジャスティンは、資源の採掘のための森林破壊によって絶滅の危機に瀕しているという、アマゾンの奥地に住む『ヤハ族』を救うためにジャングルへと乗り込む事となる。
首尾よく企業の工事を妨害する事に成功した彼らだったが、喜びも束の間、彼らの乗った小型飛行機がトラブルによってジャングルの奥地へと墜落してしまう。
事故からなんとか生き残ったメンバーは、周辺に住む原住民に助けを求めようとするが、彼らが助けた『ヤハ族』とは人肉を食べる習慣を持った恐るべき食人族だったのだ…
アマゾンの奥地に住む原住民を救おうとした学生団体が食人族によって襲われるという、ゴア描写強めのパニックホラー映画。
「ホステル」とかでお馴染みの悪趣味ゴア映画で有名なイーライ・ロス監督による食人族を扱ったゴア系ホラー映画ですが、まあなんと言うか『良い意味でも悪い意味でもイーライ・ロスらしい映画』って感じの作品ですね。
お話としては『アマゾンの原住民を救う為にジャングルに踏み入った『意識高い系』の若者たちが、逆に原住民によって食い殺される』という、なんともブラックな感じのお話です。
本作はこの皮肉な設定だけでなく、他にも色々とブラックユーモア的なネタが満載で、この辺はいかにも悪趣味なネタが大好きなイーライ・ロスらしいセンスがいかん事無く発揮されている部分だと言えるでしょう。
食人族映画と言えばそのものズバリ「食人族」って映画が有名ですが、本作も悪趣味なゴア映画のパロディとして作られた「食人族」のオマージュ的な要素があちこちに盛り込まれており、本作の過剰にブラックなノリも『その辺を意識して作られたものなのかな?』という印象なので、まさにイーライ・ロス版「食人族」という感じ。
(というか「グリーンインフェルノ」ってタイトル自体が「食人族」で舞台になった場所の名前ですし、「スタッフロールの最後に『ルッジェロ監督に捧ぐ』とかってメッセージも出てきますしね。)
テーマがテーマだけに、監督お得意のゴアシーンも山盛りで、手足を切断したり目玉をエグり出したりといった過激なゴアシーンを色々と見せ付けてくれます。
そのくせ原住民たちは、人間を完全に『食材』として扱ってるせいで、人間の解体シーンや調理シーンが妙に牧歌的でほのぼのとしてたりするのは、なかなかナンセンスで笑わせてくれる部分。
また間違った正義感を振りかざす『迷惑な意識高い系学生』たちが次々と殺されていくのは、残虐なんだけどある意味で痛快ですし、イーライ・ロス監督のセンスと趣味にマッチした題材という印象です。
「食人族」のようにモンド映画ではなくてキチンとしたストーリーもありますし、オチなんかもちょっとニヤリとさせてくれる感じになってますし、『ゴア描写だけの作品』があまり好きでは無いという人にもそこそこ楽しめる作りになっているのは良い感じでしょう。
ただ、相変わらずイーライ・ロス監督らしい悪い部分も健在で、本作もいつもの他の作品と同様に『導入部分の若者たちがグダグダやっているシーン』が妙に長いです。
まあ本作の場合は後半の伏線にもなってるので無意味に長い訳では無いのですが、それにしてもこの監督の序盤~中盤を妙に冗長にしたがるクセはいったい何なんでしょうか…
(でも本作は「ホステル」とかに比べると、冗長な部分はだいぶ短くて観やすいですけどね…)
あと後半は残虐シーンが山盛りな感じの展開になるものの、山場と呼べるようなシーンが少なくて、全体的にちょっとダラダラとした感じの展開になってしまっているのは残念なところ。
ラストの展開とかも割とアッサリした感じの終わり方なので、もうちょっと山場として畳み掛けるように盛り上がるシーンがあっても良かった気がしますよ…
総評としましては、イーライ・ロス監督の趣味が十分に発揮された『佳作レベルの食人族映画』って感じの作品ですね。
いわゆる『食人族ものの作品』が好きな人であれば間違いなく楽しめる内容だと思うので、そういうのが好きならばチェックしておいて損はないでしょう。
…というか、そもそも『食人族ものの作品』っての自体があまり多くないジャンルですし、そういうジャンルの作品が好きならば間違いなく見ておくべき一本だと思いますよ。