■■■「赤ずきんvs狼男」■■■
(35点/アクション)
アメリカの山間部の町で、老婆が自殺しその孫娘のサミーが行方不明になるという事件が発生。
保安官のアダムが事件を捜査するうちに、次いで森の中で凶暴な狼によって住民たちが殺害されるという事件が発生する。
狼への対策として山狩りを行う事となったアダムらは、猟師たちと共に森の中へと乗り込んでいくが、狼の大群に遭遇した彼らは逆にピンチに陥ってしまう。
しかしそんな矢先に、行方不明になっていた女子高生のサミーが出現。
獣のような姿になった彼女によってアダムたちはピンチを脱するが、やがて彼女こそはかつてから狼人間と戦う『森の番人』の一族だと判明し…
アメリカの山間部の町で『狼男』の群れと『赤ずきん』のような姿をした森の番人の少女が戦うという、アクションホラー映画。
低予算B級ホラーでお馴染みのASYLUMによる新作アクションホラーです。
ASYLUMといえばそれなりに掘り出し物も提供してくれるメーカーではあるのですが、これはいわゆる掘り出し物ではなくて『ダメな方のASYLUM』って感じの作品ですね…
一応、『赤ずきん』をベースにしたアクションホラーのようですが、正直に言って『赤ずきん』に関する童話をベースとしたバックボーンは殆ど無くて、単に『主人公が赤いずきんを被って戦う』って程度。(しかも、その格好になるのもお話の終盤のちょっとだけ…)
ダークファンタジー的なテイストも全く感じられないので、『赤ずきん』要素が薄すぎ(というか敵役の狼人間や主人公に比べてヒロインの影が薄い)の、単なる狼人間の出てくるアクションホラー映画という感じ。
しかもアクションホラーとして面白いかと言われると、そっちの方も正直言って微妙なところなんですよ…
まず狼人間との戦いやらヒロインの正体(最初はゾンビみたいになってる)の秘密やら、お話が全体的に行ったり来たりしすぎて散漫な印象で、どうにも盛り上がりません。
狼人間との戦いのシーンはそこそこあるのは良いのですが、ザコ狼人間はただの狼の格好をしているので、単に大きな犬と銃撃戦をしているようにしか見えなくて今ひとつ盛り上がりに欠ける印象です。
狼に襲われるシーンも、ムダにカメラが激しく動きすぎるせいで、非常に画面が見づらいのも困りものですね。(まあ特撮のアラをゴマかすためにカメラを動かしまくってるせいなんですが…)
終盤の狼人間のボス(こいつだけは『二足歩行の巨大な狼人間』ってモンスターっぽい格好をしてる)が登場してからは、そこそこ盛り上がる感じにはなるんですけど、盛り上がる展開に突入するまでがちょっと長すぎ…
またヒロインの赤ずきんは剣を振り回して狼人間と戦うのですが、この剣のアクションがショボすぎて全く迫力が無いのはどうにかして欲しかったところです。
ラストの特に前振りの無い唐突なドンデン返しも完全に蛇足ですし、全体的に『やりたい事はなんとなく分かる』のですが、もうちょっと描きたい方向性をシッカリと決めてから映画を作った方が良いんじゃないの…という感じの作品でしたよ。
総評としましては、なんというか『微妙で盛り上がりに欠ける低予算アクションホラー映画』って感じの作品ですね。
正直言ってファンタジーホラーの割にファンタジー要素弱すぎですし、あんまり見るべき部分も無いですので、特別に理由でもなければスルーしてしまって良い作品ではないかと…
パッケージはダークファンタジーっぽくてカッコ良い感じなんですが、そこはいつもの『アルバトロスマジック』(まあ本作の販売はプライムウェーブブランドですけど…)って感じなので、騙されたと思っても寛容な心で対処しましょう。