■■■「インタープラネット」■■■
(60点/サスペンス)
近未来、2つの勢力によって二分された世界。
父が敵国に捕らえられ処刑されると知ったカイは、敵国の機密が搭載された宇宙船アローヘッド号へとスパイとして潜入し、父を救い出すために情報を盗み出そうとする。
しかしデータの抽出中に宇宙船でトラブルが発生。
アローヘッド号は乗員を射出して未知の惑星の衛星に不時着する事になってしまう。
なんとか事故から生き延びたカイは、同じように脱出した生物学者のタレンと共に不時着した惑星から脱出するために宇宙船を目指すが、生存者の存在に気付かなかったアローヘッド号は彼らを地表に残したまま脱出。
大気に毒性があり呼吸する事さえも困難な星に取り残された彼らの運命は万事休すかと思われたが…
未知の惑星(の衛星)に取り残された一人の男が、その星に隠された驚くべき『秘密』によって思いがけない運命へと巻き込まれていくという、SFサスペンス映画。
なんとなく「インターステラー」を意識したっぽいタイトルですが、当然ながら作品としては「インターステラー」と何の繋がりも無いお話です。(そもそも原題は「ARROWHEAD」(主人公の密航する宇宙船の名前)ですし…)
ただ実際の映画の中身の方は、SFサスペンスで且つ「インターステラー」とちょっと雰囲気やネタ的に被る部分のある作品なので、この邦題自体はあながち的外れでも無い感じかも?
お話としては、『ある男女が未知の衛星に置き去りにされて救助も無く万事休すの状態に陥るんだけど、この星に隠された『驚くべき秘密』によって何とか生きながらえる事に成功し…』というようなお話。
ストーリーの焦点としては、当然ながらこの『秘密』が中心にお話が進んでいくのですが、サスペンス故にあんまり詳しく内容に触れる事は出来ませんが、この謎の提示やら謎解きやらはなかなか良く出来ており終盤の予想外の展開もなかなか面白い。
「インターステラー」のようにハードSFと呼ぶにはやや難があるものの、普通にSFの短編小説として読んだら楽しめるんじゃないかという感じのストーリーですね。(科学考証として正しいかはさておき…)
ただ『小説として読んだら面白そう』な内容なのですが、『映画』として観るとちょっと難点があるのも事実。
何が難点かって、とにかくお話が『地味』なんですよ。
殆どの時間を主人公が一人で過ごしており、謎の衛星の荒野を淡々と探索してるだけなので、とにかくビジュアル的に華が無い。
中盤あたりで山場になるようなシーンも殆ど無いですし、どうにも盛り上がりに欠けます。
またサスペンスとしての謎や手がかりの提示も物凄く断片的で、お話が『難解』というよりも『良く分からないまま進んでいく』って感じの部分が多くて、正直言ってちょっとダレてしまいました。
まあ最終的には殆どの謎に対して割とスッキリと謎解きを行ってくれますし、『蛇足』かと思ってたような設定が後で伏線として活きてきたりするのはなかなか面白いですので、あまりストレスは残らないのですが、全体的に見ると『もうちょっとどうにかならんかったかなぁ?』という感じでしたよ。
総評としましては、低予算ながらも『思ったよりも良く出来たSFサスペンス映画』って感じの作品ですね。
アルバトロスの販売作品のなかでもいわゆる『良いアルバトロス作品』に当たる一本で、アルバトロスは時々こういう掘り出し物的な作品を持ってくるのが、やはり侮れません。
色々とツッコミどころはありますし、やや地味な内容ながらも『シリアス系のSFサスペンス作品』が好きな人であれば、そこそこ楽しめると思いますので、そういうジャンルが好きであれば割とオススメできる映画ではないでしょうか。