(65点/サスペンス:結構オススメ)
生命科学者のヴィクター・リード博士は、10年以上の研究の結果、人間のクローンである新生児『エリザベス』を誕生させることに成功する。
リード博士はエリザベスに対して様々な遺伝子治療の実験を繰り返すが、ヒトクローンに対して様々な議論や批判が飛び交い、病院での研究の継続が難しくなった事から、彼は自分の家へとエリザベスを移送する事となる。
しかしそんな最中、彼が過去に行った恐るべき『実験』の失敗による産物が明らかになっていき…
ヒトクローンを作り出す事に成功した科学者が過去に犯してきた自分の過ちによって恐るべき運命を辿るという姿を描いた、サスペンススリラー映画。
クローン人間を題材とした医療系のサスペンススリラー映画なのですが、なかなか独特のテイストを持った作品ですね。
お話としては『とある科学者が長年の実験の成果によって遂にヒトクローンの誕生に成功するんだけど、彼の過去には隠された恐るべき秘密が…』みたいな感じの内容。
デヴィット・クローネンバーグ監督の作品のオマージュと評されているようですが、確かにクローネンバーグの過去作品的な絵作りや雰囲気が感じられて、得体の知れない不気味さと全体的に漂う70~80年代のホラーっぽいテイストが良い味を出しています。
単なる科学者としてのモラルやスキャンダルを題材としたサスペンスかと思いきや、お話の主軸となる『エリザベス』以外にも隣の家に住む不気味な『畸形の子供』が登場して、これがメインのストーリーに絡んできたりするのですが、この辺のストーリーの組み立てやら先の読めない意外性のあるお話の持って行き方は非常に上手い。
序盤の落ち着いた雰囲気のサスペンス映画から、終盤に向けて一気に緊張感あふれるホラーになっていく構成は、なかなか面白いです。
また、この『畸形の子供』の出し惜しみの仕方が物凄く怖くて、ひと昔前の低予算ホラー的なテイストを上手く再現してるのも良い感じですね。
(まあ出し惜しみしすぎで、ちょっとイライラする部分もあったけど…(笑))
ただ全体的なお話としては面白いのですが、序盤~中盤の展開が割と淡々としており、特に序盤はなかなか話の全体像が見えてこないため、人によってはちょっと退屈に感じてしまうかも?
またラストもややスッキリしない終わり方なので、謎解きやらオチやらがキッチリと付いていないと嫌だという人にとっては、好みに合わない部分もあるかもしれません…
個人的には、もう一押しの突き抜けた部分が欲しい気もしなくは無いものの、なかなか好みのテイストの作品だったので、この監督の次回作以降にも期待していきたいところですよ。
総評としましては、やや古臭いテイストながらも『なかなか怖い内容の医療系サスペンスホラー映画』って感じの作品です。
クローネンバーグ監督とかの70~80年代風味のサスペンスホラーが好きな人ならば、結構ハマる事の出来そうな作品だと思いますので、そういうノリが好きな人であればチェックしておいて損は無いでしょう。
逆に本格的な医療系スリラーや医学サスペンスが好きな場合は、ちょっと期待と違う内容になってしまうと思いますので、そっち方面を求めている人は注意が必要かもしれません。