NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「サクラメント 死の楽園」(55点/サスペンス)

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■■■「サクラメント 死の楽園」■■■
(55点/サスペンス)

 ある日、パトリックは、ドラッグの構成施設に入ったまま連絡の途絶えていた妹のキャロラインから、自分が所属しているという奇妙な宗教コミュニティを紹介する手紙を受け取る。

 彼は突撃取材をウリとしているVICE社のサムらと共に、彼らのコミュニティを訪れて取材をしつつ妹を連れ帰そうと考え、人里離れた森の奥にある『エデン教区』と呼ばれるその場所を訪れる事となる。

 取材を受けたコミュニティは、『お父様』と呼ばれる指導者の下で幸せそうに暮らしているかのように見えたが、どこか不穏な空気を感じながら取材を続ける彼らの元に『私たちを助けてください』と書かれたメモを持った少女が訪れ…



 狂信的な宗教コミュニティの引き起こした集団自殺事件の恐怖を描いた、サイコサスペンス映画。

 アメリカで1978年に実際に起こったカルト教団である人民寺院』の集団自殺事件をモチーフとしたサイコサスペンス映画ですね。
 この事件自体は割と有名で、映画とかその他のメディアでもちょくちょくネタにされているので、ホラーが好きなら知っている人も多い題材かも?

 本作はPOV形式のファウンド・フッテージ映画(なんちゃって実録映画)として作成されているのですが、確かに映画のネタ的にはファウンド・フッテージ映画との相性の良い題材ですね。

 イーライ・ロス製作でタイ・ウェストを監督として作られた作品なのですが、全体的にソツなくコンパクトにまとめられた感じの内容で、イーライ・ロスの作品としてはだいぶ大人しい印象。

 お話としては、『とある宗教コミュニティの潜入取材を行う事になったクルーたちが、彼らの訪問を契機として発生したある「事件」に巻き込まれる事となり…』といった感じのストーリーなのですが、宗教コミュニティの不穏な雰囲気やらは割と良く出ていると思います。

 あと事件が起こり始めてから終盤へのお話の流れなんかも、端折ったような不自然さがあまり無く上手くまとまっているのは好印象。
 特にラストの集団自殺の様子』をPOV形式の主観映像で見せられるシーンは、なかなかインパクトがあって怖いです。

 ただコンパクトに良くまとまっているとは思うのですが、正直言ってちょっと物足りない部分が多いのも事実。

 宗教に関しても、信者の熱狂的な雰囲気がそこまで感じられず『この人たちがこんなに淡々と集団自殺するかな?』って疑問が生じるレベルだったので、この辺はもっと大げさにカルト集団のヤバそうな雰囲気が強調されても良かったかも?

 また元ネタになった『人民寺院』の事件の方は、査察に訪れた米国の議員が殺害されていたり、信者たちが聖歌を合唱しながら集団自殺していたりと、映画の内容よりももっとドラマチックかつ衝撃的なので、現実の事件に比べてスケールが小さい(現実は900人ぐらい死んでるけど、映画では100人ぐらい)地味な内容になってしまっているのは、なんとも残念なところでしょう…
 (まあ自殺者の人数が少ないのに関しては、予算の都合もあったんでしょうけど…)


 総評としましては、『それなりに良くまとまった、新興宗教を題材としたサイコサスペンス映画』って感じの作品ですね。

 この手のカルト集団の恐怖を描いた題材とかネタが好きな人であれば、まあまあ普通に楽しめる作品だと思うので、そういうネタが気になるならば観ておいても損は無い一本だと思いますよ。

 個人的にはイーライ・ロスカルト教団』という題材からして、もっと悪趣味なエグい内容を期待していたらちょっと肩透かしを食らった感じだったので、その辺はあんまり期待しないで見るほうが良いかもしれません。