■■■「クリムゾン・ピーク」■■■
(60点/オカルト)
20世紀初頭。
ニューヨークに棲む霊が見える体質の女性のイーディスは、幼い頃に母親の霊から「クリムゾン・ピークに気をつけなさい」という奇妙なメッセージを受け取る。
そんなある日、富豪の父親が変死を遂げた事から、実業家の男性であるトーマスと結婚する事となった彼女は、イギリスの「クリムゾン・ピーク(深紅の丘)」の山頂にある彼と彼の姉のルシールが暮らす屋敷へと移り住む事となる。
しかし暮らし始めてからすぐに、彼女の前に血まみれの姿をした女性の霊が次々と出現。
女性の霊たちの様子に不審なものを感じたイーディスは、かつてこの家で殺人事件があったのではないかと疑いを抱くようになるが…
小高い丘の上に建つ古びた屋敷に住む事となった女性が、幽霊たちによってかつてこの屋敷で起こった恐るべき事件を知る事になるという、オカルトサスペンス映画。
「パシフィック・リム」やらですっかりとメジャーになったギレルモ・デルトロ監督ですが、劇場版としては久々のホラー映画の新作って感じでしょうか?
タイトルや予告からして正統派のゴシックホラー系の作品かと思っていたのですが、内容の方はどちらかというとサスペンス寄りのテイストの強い作品ですね。
お話としては、『とある古い屋敷に住む事になった霊感のある女性が、この屋敷に出現する幽霊たちの謎を追っていくうちに、恐るべき真相にたどり着く…』というような感じの展開。
序盤から割とサスペンスっぽい謎の提示はされており、謎解き自体もそこそこシッカリと作られているので、サスペンスとしては可も不可も無いような出来といった印象。
ただの遺産相続もののサスペンスかと思いきや、ちょっとロマンスっぽい要素もあったりと、少し捻りを利かせた部分があったりするのは面白いですね。
オカルト映画的な部分としては、もともと独特のキレイな絵作りや演出に定評のあるデルトロ監督らしく、古びた屋敷を舞台としたゴシックホラー的な雰囲気は非常に良く出来ていると思います。
ただ、出てくる幽霊が矢鱈とみんな血みどろ(というか皮が剥げて肉が剥き出しみたいな状態)で妙にグロくて、今ひとつゴシックホラー的なテイストと合って無い印象を受けるのは、なんだかんだとグロが好きなデルトロ監督の趣味が出ちゃった部分といったところでしょうか…
またオカルト要素もサスペンス要素も総じて割と良く出来ている本作なのですが、不満を上げるとしたら『オカルト要素とサスペンス要素があんまり上手く融合していない』という事かなぁ?
主人公と幽霊との絡みがあんまり無くて、幽霊屋敷ものの割には霊の存在が謎解きとかメインのストーリーとかに殆ど絡んできません。
ぶっちゃけ、『この話って、霊がまったく出てこなくても成立したんじゃない?』って感じのイキオイなので、もうちょっと事件の解決とか決着のシーンには霊が絡んできても良かったんじゃないかなぁ…
正直に言って霊の存在感が薄すぎて、幽霊屋敷ものとしてはちょっと物足りなかったですよ。
あと尺が約2時間と少し長めで、主人公が幽霊屋敷に行くまでがかなり引っ張られる印象なので、序盤はもうちょっとテンポが良くてもよかったかも?
総評としましては、流石にデルトロ監督だけあって『そこそこ良く出来たオカルトサスペンス映画』って感じですかね?
まあオカルトとサスペンスの融合性はイマイチとはいえ、オカルト要素もサスペンス要素も及第点は満たしているとは思いますので、気になっているならばチェックしておいても損は無いでしょう。
ただ劇場公開ながらもかなり小粒の作品で、デルトロ監督の大作的なレベルを期待していると肩透かしを食らわされるかもしれませんので、あまり注目されていないビデオストレート作品的なノリでチェックしてみるのが良いかもしれません。