NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ハウンド」(55点/パニック)

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■■■「ハウンド」■■■
(55点/パニック)

 ある日、アメリカの田舎町に謎の隕石が降り注ぎ、それと同時に犬たちが狂暴化して人間を襲いはじめるという事件が発生。

 友人たちと一緒に森にキャンプに来ていたロズリンは、唐突に現れたした野犬の群れに襲われて友人の2人を喪ってしまう。

 なんとか車に乗って脱出する事に成功した彼女は、同じように犬の群れの襲撃を受けていた果樹園で働く父のデイブと合流。
 継母と妹を救出するために町へと向かう事となるが、町は狂暴化した犬たちによって大パニックに陥っていたのだった…



 謎の隕石の影響によって狂暴化した犬の群れによって人々が襲われパニックが引き起こされるという、アニマルパニックホラー映画。

 犬が狂暴化するパニックホラー映画というと、古くは「ドッグ」とか最近でも「ファイナル・デッド」なんかがありましたが、人間の最も身近に居る生き物だけあって比較的ネタにされやすいジャンルではありますね。

 ちなみにB級ホラーでお馴染みのASYLUMによる作品ですが、今回は比較的『良いASYLUM』の作品かも?

 お話としては『宇宙から降り注いだ謎の隕石の影響で、犬たちが唐突に狂暴化しました』って感じの展開なのですが、ストーリーはそれ以上でも以下でも無くて純粋に動物によるパニックを描いたパニック映画という感じの内容です。

 パニックに陥った町からとある家族が脱出を目指すという感じの流れで、プロットや流れ的にアニマルパニック映画の名作であるヒッチコックの「鳥」のオマージュっぽい印象を受ける部分がある作品ですね。(ラストの脱出シーンとかも、思いっきり「鳥」を意識してる感じですし…)

 ストーリーらしいストーリーは殆ど無いようなお話ですが、パニックシーンの描写が割と秀逸なのは良いところ。

 犬の群れによる襲撃シーンは、実際の犬が演じているシーンが殆どなだけあってリアルですし(一部でマペットっぽいのやCGっぽいシーンもアリ)、狂暴な野犬に加えて盲導犬やら警察犬まで色んな種類の犬が襲い掛かってくる展開も妙に現実味があって恐いです。

 ただ現実問題として、いくら犬が多く飼われているといっても、人間の方が圧倒的に数が多いのですから、本気になって戦ったら町が壊滅するほどの状況に陥る事は無いとは思いますけどね…
 (普通の人間でも即席の槍でも作れば、中型犬とは十分に戦えるぐらいの戦闘力はありますし…)

 また大型犬や中型犬に加えて、襲撃してくる犬にマルチーズとかの小型犬まで混ざっていて攻撃してくるのは、なんか妙に微笑ましい印象も…(笑)
 あと予算の都合からか、多くのシーンで同じ犬がやたらと使いまわされていて『この犬って、さっき別のシーンにも出てたよね?』って感じで、ツッコミを入れたくなるのはもうちょっと工夫して欲しかった。(見分けのつかないような犬ならともかく、ハーネスを付けた盲導犬が色んなシーンで登場するのは変だろ…)

 あとパニックシーンはともかくストーリーに関してはかなり適当で、とある一家の4人を中心にお話が進んでいくのですが、それ以外の町の住人の殆どが『単に犬に殺されるためだけ』に登場してる感じで、脇役のキャラクターにドラマや個性が全く感じられないのは困りもの。

 そういった全く個性の感じられない面々がいくら犬に襲われても、いま一つ感情移入できないために盛り上がりに欠ける印象が強かったので、もうちょっとメインの登場人物が多いか襲われる町の人々の個性をシッカリと描いても良かったんじゃないかと…

 ラストも中途半端に投げっぱなしというか『尻切れトンボ』な感じの終わり方ですし、どうせ投げっぱなすなら、いっそ本家の「鳥」のように先の見えない不安を臭わせる終わり方にした方が良かったんじゃないかなぁ?

 あとどうでもいいけど、落下してきた隕石がどう見ても『ポンとその場に置かれただけ』に見えて、違和感バリバリに感じたのは自分だけですかね?
 (隕石なのに民家の屋根とかに乗っかってるのは流石に変だろう…)


 総評としましては、いかにも低予算ながらも『思ったよりも良くできたアニマルパニック映画』って感じの作品ですね。

 そこそこ観れる部分もあるものの物足りない部分も多いので、過剰な期待はしない方が良いと思いますが、逆に期待せずに見ればそれなりに楽しめる一本ではないかと…

 まあTV放送とかされた際に、なんとなく観てみたらそこそこ楽しめるって感じの作品だと思いますし、テレ東の午後ローとかでやりそうなネタな気もするので、そういう機会にチェックしてみるにはちょうどよいレベルの映画だと思います。