■■■「モンスター・フィールド」■■■
(50点/モンスター)
気弱な学生のダニーは、学校で弟のウィリアムが友達にいじめられてもそれに逆らえずに過ごしていた。
そんなある日、行方不明になったペットの猫を家の地下室で探していたところ、外が異常に騒がしい事に気付くが、その直後に彼らの家に正体不明の怪物が侵入し、彼らの父親が襲われてしまう。
とっさに難を逃れたウィリアムはダニーと共に地下室に立てこもるが、非難してきた近所の住民から街は怪物によって荒らされて、彼ら以外の生存者が誰も残っていない事を知らされる。
絶望しつつも地下室で立てこもって救助を待つ彼らがったが、偶然にも怪物が『音』を頼りに獲物を探している事に気付いた事から、買い物に出たまま音信不通となっている母親を探すために、怪物を避けつつスーパーに向かう事を決意するが…
海中から現れた謎の怪物によって崩壊した街で、とある兄弟が母親を救うために奮闘するという、モンスターパニック映画。
デンマーク制のモンスター映画という事で独特のセンスを感じる部分はあるものの、作品としての中身の方は割とオーソドックスな感じのモンスターパニック映画ですね。
「クローバーフィールド」っぽいタイトルとパッケージ(というか「モンスターズ 新種襲来」のパッケージそのまんまですね…)から、巨大な怪獣が出没するっぽい印象を受けますが、実際に登場する怪物は体長2mぐらいの半魚人ならぬ『半魚狼』みたいな生き物で、肉食獣っぽい胴体に思いっきり『魚』って感じの頭が付いてるというデザインは、なかなかシュールでインパクトがあります。
お話としては、『街が怪物の襲撃を受けて地下室に閉じこもる事となった兄弟が奮起して母親の救出に向かう』みたいな感じのストーリーなのですが、『気の弱いオタク青年っぽい主人公が勇気を出して危険に立ち向かうようになる』というプロットは、テンプレートな展開ながらも悪くは無いです。
…が、怪物のデザインも個性的ですしテンプレ的な要素は悪くないんですが、とにかく非常に『展開が遅い』のは困りもの。
主人公が勇気を出すまでのヘタレっぷりがちょっと腹が立つレベルで、序盤~中盤はホントに頑なに地下室から外に出ようとしないので、主人公のヘタレっぷりとお話が全く進まないストレスから観ていてかなりイライラさせられます。
というか、最初は『もしかしてこのまま地下室から出ないまま終わるんじゃ?』と、ホラーの怖さとは違う意味で恐怖を抱きましたが、流石にそんな事はありませんでした。(笑)
もう一つイライラさせられるのが、今どきの映画にしては物凄く怪物が出し惜しみされて、なかなか画面に出てこないという事。
ホントに中盤ぐらいまでは『手』とか『顔の一部』とか『背びれ』とかしか出てこないので、『もしかしてこのまま怪物の全貌が分からないまま終わるんじゃ?』と…(以下略)
(というか矢鱈と何度も『手』は出てくるのですが、コレってスタッフの手に特殊メイクしてるだけだよね?)
ただ中盤まではストレスが溜まりまくる内容ですが、終盤の展開は割とスピーディでカタルシスもある感じになるので、そこそこスッキリ観れるのは良い感じでしたよ。
惜しむらくは、もうちょっと展開が早くて見せ場となる部分が多ければそこそこ楽しめる作品になったと思うのですが、いかんせん退屈な部分が多すぎるのが残念でした。
やっぱ、モンスターの出るシーンやパニックシーンを描くには、ちょっと予算が厳しかったんですかねぇ…
総評としましては、退屈だけど『それなりに観れるレベルのモンスターパニック映画』って感じの作品ですね。
プッシュするほど凄く面白い作品では無いものの、全く見どころが無い訳でも無いのでツマんないと斬って捨てるほど酷い作品でも無い印象。
こういうジャンルが好きで欧州映画的な独特のノリとかが気になるならば、お好みでチェックしてみるのも良いかもしれませんよ。