■■■「ZOOMBIE/ズーンビ」■■■
(60点/生物パニック)
絶滅危惧種の保護と、実際にその動物と触れ合う事を目的とした『エデン野生動物園』は、一般公開を間近に控えて職員たちの研修やらの準備に追われていた。
しかしそんな最中、小型の霊長類に謎の伝染病が発生。
いったん死んだ後に甦ったサルたちは、狂ったように凶暴化し治療に当たっていた医療スタッフを殺害してしまう。
警報を聞いて駆けつけた警備員のレスリーは、現場でゾンビ化したサルを何匹か倒すもののサルたちは隙をついて逃走。
事件の報告を受けた園長のエレンは、即座に動物園を封鎖し伝染病の拡散を阻止しようとするが…
謎のゾンビウイルスによって動物たちがゾンビ化した動物園で、職員たちが事態の拡散を
防止するために命がけで戦うという、サバイバルホラーものの生物パニック映画。
B級ホラーシリーズでおなじみのASYLUMの新作で、最近ちょっとだけ流行っている感じの『動物がゾンビ化するパニックホラー映画』ですが、一言で言ってしまうと『ゾンビアニマル版ジュラシックパーク』みたいな感じのお話ですね。
本作の特徴は、他のゾンビアニマル映画と違って『ゾンビウィルスは動物の間でしか感染しない』という事。
そのため、ゾンビ化してタフになって凶暴化した様々な動物が人間に次々と襲い掛かるというのがメインの展開になっており、アクマで生物パニック映画の範疇を超えない内容なのは、ある意味で主題がブレずにゴチャゴチャしすぎなくて良い感じです。
生物パニック映画の範疇を超えないと言いつつも、ゾンビキリンが人間を八つ裂きにしたり、ゾンビコアラが襲い掛かってくるとかってシーンは、なかなかインパクトがあって面白いですし、ゾンビ化という特徴をそれなりに活かしているのも好感触。
ストーリーは『巨大動物園にゾンビアニマルの暴走によって閉じ込められて、なんとか事態を収拾しようとする職員たち』という感じで、まるっきり「ジュラシックパーク」のオマージュという感じのノリながらも、逆にまるっきり「ジュラシックパーク」なんだから『絶望的にツマんなくはなりようが無い』という感じなのは安心感が持てます。
また実際にある巨大な動物園だかの施設をロケに使っており、加えてCGもそこそこ頑張っている事から、低予算ながらもお話のスケール感がキチンと感じられるのも良いところ。
ただそうは言いつつも、やっぱり低予算映画なので端々で安っぽい部分が目についてしまうのは難点ですかねぇ…
特にゾンビアニマスの襲撃シーンで、見せ場になりそうなシーンでカットされていたり、イメージ映像みたいな感じだったりするシーンがちょくちょくあったりするのが残念なところ。
まあ人間とCGとの絡みは作るの大変なので、やっぱ予算的に厳しかったのかなぁ?
襲ってくる動物のバリエーションもそこまで多くなくて、襲撃シーンの見せ場もそこまで無いですし、肝心の襲撃シーンでも『絡み』が難しいせいで警備員たちが割とサクサクと銃でゾンビアニマルを倒しちゃうって展開が多く、戦いのシーンがちょっと盛り上がりに欠けるのも難点でしょう。
(っていうか警備員たち、高速で動き回るサルやキリンの頭を的確に撃ち抜けるって銃の腕前が凄すぎだろ。)
野外のシーンとかでちょっとCGアニマルが浮いてる感じなのも、予算の限界を感じさせます。
まあ、もともと低予算映画なので仕方ないとは思いますが、作品のスケール感の大きさの割にはこういったショボい部分が目についてしまうのは辛いところです。
あと、せっかくゾンビキリンやゾンビコアラといったネタを仕込んでるんだから、もうちょっとネタ方向に振り切れた部分があっても良かったかも?
(単に動物がタフになったってだけで、全体的にゾンビ要素もちょっと薄いですし…)
まあASYLUMは、この手の映画で人気が出ると続編を作ってくれるので、これはもうちょっと予算が増えてスケールアップした続編が作られる事に期待したいところですよ。
総評としましては、物足りない部分もあるものの『低予算ながらも意外と良く出来た生物パニック映画』って感じの作品ですね。
まあ、タイトルから期待してる程度のレベルでは普通に楽しめる内容だとだと思いますので、気になっているならば観ておいても損は無い一本でしょう。
ASYLUMの新シリーズの一つになりそうな気がするので、こういうASYLUMのトンデモホラー系のシリーズが好きならば、間違いなくチェックしておくべき作品だと思いますよ。