NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ノック・ノック」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「ノック・ノック」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 芸術家の妻と2人の子供という理想的な家族を持つ建築家のエヴァンは、バカンスに家族でビーチに行く予定だったが仕事の都合で一人で豪邸で留守番をする事となる。

 しかし深夜に一人で仕事に集中していたところに、何者かが玄関をノックする音に気付いて対応に出たところ、嵐のなかでビショ濡れで2人の若い女性が立っているのを発見。

 2人から『道に迷ったうえに電話も水没して壊れて立ち往生しているので、家に入ってPCを使わせて欲しい』と懇願された彼は、不審なものを感じながらも親切心から2人を家へと招き入れる。

 エヴァンは最初はタクシーを呼んですぐに2人を送り出すつもりだったが、彼女たちから執拗な誘惑を受けた事から2人と一夜限りの関係を持ってしまい…



 理想的な家族を持つ幸せな男が、ゆきずりの2人の女性と関係を持った事から予想もしないようなトラブルに巻き込まれていくという、サスペンススリラー映画。

 キアヌ・リーブスが主演&プロデュースに関わったという事でちょっと話題になった本作ですが、イーライ・ロスが監督という事で『ただで終わる訳が無い』と思って観てみたのですが、予想どおりにただ事ではない感じのなかなか悪趣味な内容の映画でした。

 お話としては、『幸せな家庭を持つマジメな男性が美人局(ちょっと違うけど)的な女性たちと関係を持ってしまった事から、身の破滅を招くようなトラブルに巻き込まれていく』みたいな感じのストーリーなのですが…

 最初は単なるちょっとお色気要素のあるサスペンス的なお話かと思いきや、中盤から予想だにしないトンデモない方向に話が進んていく辺りが、いかにも悪趣味監督のイーライ・ロスという感じ。

 あまり内容に触れてしまうとネタバレになってしまうので詳しい内容は語りませんが、後半に進むにつれ事態がどんどんエスカレートしていくという展開の盛り上がり方が良い感じで、割と胸糞な話なのにカタルシスを感じられるのが面白いです。

 また、ヒロイン2人の濃度の高いキチガイの暴走っぷりに対して、逆にどんどん情けない感じになっていく主人公(キアヌ・リーブス)の対照的な雰囲気がなんとも言えない良い味を出していますね。
 (というかキアヌってイケメンの割に妙に情けない感じの役が多いけど、もしかして本人の趣味なんだろうか?)

 中盤以降のジェットコースター的なスピーディな展開のお陰で、シチュエーションスリラー的なノリの割には退屈しないですし、ところどころで感じられるブラックユーモアも、イラつくだけの展開にならないための良い味付けになっていると思います。

 ただイーライ・ロスらしい悪い部分も健在で、相変わらず何というか『お話が盛り上がるまでの前置きが妙に長い』のは困りもの。
 ヒロイン2人が主人公を誘惑するまでの流れをあそこまでダラダラ引っ張る必要はあったのかなぁ…
 (まあ本作の場合はダラダラ引っ張ったお陰で主人公のキャラが良く立っているので、全くの無駄でも無いんですけど…)

 あと本作のオチに関しても、個人的には結構好きなんですが、人によってはちょっと中途半端で物足りないと感じてしまう人も居るかもしれないので、ちょっと好みが分かれる部分かもしれません。


 総評としましては、ブラックユーモア的なノリが良い味を出している『なかなか良く出来たサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。

 個人的には、イーライ・ロス監督らしい一筋縄ではいかない悪趣味なテイストが感じられて予想以上に楽しめた作品でしたので、この監督の独特のテイストが気になっているならばチェックしておいても損は無いでしょう。

 ただいつものイーライ・ロス監督映画に比べるとだいぶマイルドで、過激な描写を期待していると肩透かしを食わわされるかもしれませんので、そっち方面に期待してる人は要注意かもしれません。