NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」(60点/サスペンス)

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■■■「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」■■■
(60点/サスペンス)

 19世紀末の英国。
 オックスフォード大学の学生のエドワードは、精神科医の研修として人里離れた森の中にあるストーンハースト精神病院に赴任する事となる。

 彼は病院で院長のラムから、この病院では原則として患者たちを自由に行動させており、他の精神病院で行っているような苦痛を与えるような治療を行っていないという説明を受ける。
 この新しい治療法に驚かされたエドワードだったが、そんな中、ヒステリーの発作で夫の目をくり抜いて入院しているという美しい一人の女性を紹介されるが、その女性から「すぐにここから出ていくように」という奇妙な警告を受ける。

 不審に感じつつもそのまま一晩を過ごす事になった彼は、その日の夜に奇妙な物音を聞いて地下室に向かったところ、多くの男女が地下牢に閉じ込められているのを発見。
 実は彼らこそがこの病院の本当の職員や医師たちで、今の医師たちは病院の患者のなりすました姿だという驚くべき事実を告げられるが…



 精神病院に研修に赴くことになった若い医師が、その病院で狂気の医師によって行われている恐るべき陰謀に立ち向かうという、サスペンススリラー映画。

 エドガー・アラン・ポーの原作小説をベースに作られたサスペンス映画だと言う事ですが、残念ながら自分は本作の元ネタの小説を(多分)読んだことがありません。(まあ、ポォは短編集ぐらいしか読んだ事が無いのですが…)

 お話としては、『若い研修医がとある精神病院に訪れるんだけど、実はその病院は患者が医師や職員としてなりすました場所で本当の医師たちは地下牢に閉じ込められており…』という感じのお話。

 どんでん返しものとしては、割としょっぱなからどんでん返し的なネタのある作品『狂気の医師たちの陰謀から本当の医師たちをどうやって救うか』みたいな流れがメインとなっています。

 サイコスリラー的なノリのタイトルなので、てっきり『どこまでが真実でどこからが妄想なのか…』みたいなノリの展開が色濃くあるタイプの小難しい作品かと思ってたのですが、あんまりそれ系の難解なネタは少なくて割とオーソドックスなサスペンスという感じの内容。

 主人公がいかにして職員たちを救い出すかと、狂気に囚われた院長のラムの秘密とは…みたいなネタがメインに進んでいく感じで、謎解きよりも冒険映画的なノリが強い内容で非常にテンポよく軽快に観れるのは良い感じです。

 美術とか映像とかも割とお金がかかっており、全体的に19世紀らしいゴシック的なテイストが良くてていて良い雰囲気ではあるのですが、狂気の精神病院という題材的にはもうちょっとダークな色合いが強くても良かったかも?

 また狂気の医師の言うには『精神病院に隔離されていた患者たちの身を守るためにやった』みたいな設定なのですが、19世紀の当時に実際に行われていた残虐な精神病の治療とかのネタもそこまでシッカリと描かれてないため、狂気の院長にそこまで差し迫った雰囲気が感じられないんですよね。

 普通の人も見やすいようにあまり重くなり過ぎないように作ったのかもしれませんが、ネタ的にもっと残虐な描写を強めに入れても良かったんじゃないかと…
 お話としては面白いんですけど、タイトルから受ける印象に比べるとどうにも爽やかすぎてちょっと物足りない感じの内容だったのも残念なところ。

 あとラストにもどんでん返し的なネタがあるんですが、こっちの方はちょっと蛇足的な感じなので、こっちのネタはぶっちゃけ必要なかったんじゃないかなぁ…とか思ったのは自分だけ?


 総評としましては、不満点も無くはないものの『そこそこ良く出来た冒険もの風味のサスペンス映画』って感じの一本ですね。

 精神病院ものを題材としたサイコサスペンス的なノリを期待してると、全体的に軽めの内容にちょっと肩透かしを食らわされるかもしれませんが、その部分を差し引いても映画としては普通に面白い作品ではあります。

 まあ敢えてオススメするにはちょっと弱い内容ではありますけど、ポォの原作とかが気になっているのであればチェックしておいても損は無いタイトルだと思いますよ。