NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ソムニア -悪夢の少年-」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「ソムニア -悪夢の少年-」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 事故によって幼い息子を失ったジェシーとマークの夫妻は、新たな人生を踏み出すために8歳の少年・コーディを養子に迎える事になる。

 夫妻は家へと迎えられたコーディの、夜中にこっそり蝶の図鑑を読みつつカフェイン剤を飲んで眠ろうとしないという奇妙な行動に不思議なものを感じるが、そんなある晩に、リビングに奇妙な蝶の群れが出現。
 数日後には、死んだはずのショーンが姿を現すという奇妙な現象が発生する。

 その現象は『夢に見たものを具現化する』というコーディの不思議な能力によるものだと知った夫妻は混乱しつつもその現象を受け入れるが、コーディの能力は実は『良い夢』だけではなく『悪夢』も具現化してしまう恐るべきもので…



 『夢』を具現化するという不思議な能力を持った少年を引き取ることになった夫妻が遭遇する恐怖の現象を描いた、サイキックスリラー風味のオカルトサスペンス映画。

 てっきり『夢や悪夢を具現化する』という設定から、もっとサイケデリックな不条理系のサイコスリラーかと思いきや、親子のドラマを中心としたヒューマンもの系のサスペンス映画って感じの内容の作品で、これはこれでなかなかの良作でした。

 お話としては『子供を失った夫妻が人生をやり直すためにとある少年を養子として受け入れるんだけど、その子供には実は『夢を具現化する』という驚くべき能力があり…』という感じのストーリー。

 全体的に『親子のドラマ』がお話の主軸となっているのですが、夢の中とはいえ両親が死んだ息子と再会するシーンなんかはなかなかに感動的で泣かせます。
 この現象に対して、主役の3人の『特殊な能力を持っているものの素朴で純真な養子の少年』『頑張って息子の死を受け入れようとする父親』『死んだ子供への未練を捨てきれない母親』という構図が非常に良い味を出しており、『親子の絆』を中心に3人の関係を描いた人間ドラマとして非常に分かりやすいテーマの作品になっていて面白いです。

 また『悪夢』すらも具現化してしまうという設定が、サスペンスとして良いアクセントになっており、悪夢に登場する謎の怪人『キャンカーマン』も不気味で良い味を出しています。
 特に、この怪人の正体が明かされる終盤の展開はなかなかに秀逸で、予想外の良い話っぷりにウルっと来てしまいましたよ…

 ただ全体的に人間ドラマとしては非常に秀逸なのですが、ホラーとして観ると若干物足りない部分があるのは残念なところ。

 悪夢の具現化という事で、てっきりもっと超現実的な恐怖が描かれるのかと思っていたのですが、恐怖の演出が意外と地味でちょっと盛り上がりに欠けるんですよね。(まあ作品のメインテーマから外れるので、そこまで注力されなかったのかもしれませんが…)

 あとお話が動き出してからの展開は面白いのですが、中盤辺りまではちょっと冗長でテンポの悪さを感じる部分もあったので、序盤にももうちょっと盛り上がる要素があっても良かったかも?

 またラストは非常にキレイで上手いまとめかただったと思うのですが、何か微妙にモヤっとしたものが残る気分になったのは自分だけ?
 (少なくともあのいじめっ子は、そこまで悪い事してないだろ…って言う)


 総評としましては、予想以上に良く出来た『佳作レベルのサイコ(サイキック)系サスペンス映画』って感じの作品です。

 あまり話題になっていませんが小粒ながらもなかなかの良作だと思いますので、作品のテーマとか設定とかが気になっているのであれば間違いなく観ておいて損は無い一本でしょう。

 ヒューマンドラマ系のホラー作品とかが好きな人であればガッツリとハマれる内容だと思いますので、そういうノリが好きならばチェックしておく事をオススメしますよ。