■■■「ライト/オフ」■■■
(65点/オカルト:結構オススメ)
家庭環境の問題によって実家を離れて暮らすレベッカは、ある日、精神病を抱えた母と暮らす幼い弟のマーティンが異常なまでに睡眠不足のため、虐待を受けているのではないかとの疑いで学校から呼び出しを受ける。
弟から話を聞くと、彼は『明かりを消すと暗闇のなかに現れる何者か』に恐怖して、そのせいで睡眠不足になっていると知らされるが、実は彼女自身が数年前に実家を離れる事となった理由の一つが、その『暗闇に現れる何者か』が原因だった。
ひとまず怯える弟の事を預かる事になったレベッカは、母親との会話を試みるがノイローゼ気味のためにマトモに会話が出来ず、更には彼女の元へも再び『暗闇のなかに現れる何者か』が出現した事から、彼女はその怪物の正体を探ろうとするが、そこには彼女の家族の過去にまつわる驚くべき秘密が隠されていたのだった…
(※オンライン配信でレンタルに先駆けて先行配信されていたので鑑賞、店舗でのレンタルは12月下旬から。)
明かりを消した時だけ暗闇の中に現れる『謎の怪物』の恐怖にさらされる家族を描いた、オカルト風味のサスペンスホラー映画。
最近、この手の作品ではお馴染みのジェイムズ・ワンが制作に関わったホラー映画の新作ですが、なんというかコレは一発ネタ的ではあるものの『アイデアの勝利』って感じの作品ですね。
何よりも、この『明かりを消した時に現れる怪物』の絵面が物凄く怖い!!
明かりを消した時だけ闇の中に怪物のシルエットが現れて、明かりを点けると再び消える、しかも明かりが消える度に『だるまさんが転んだ』のように少しづつこっちに近づいてくる…という絵面のインパクトが強烈で、実際にこんなものが自分のところに現れたらオシッコちびるぐらいにビビリ倒す自信があります。
なんというか、とにかく『怪物のビジュアル的な怖さ』に魅力が全振りされた作品という感じです。
ただ絵面の怖さに全振りといっても、それ以外の部分もそこまでお粗末な訳でもありません。
お話としては、『家庭の事情から実家を離れて暮らしていた少女が、幼い弟のために「明かりを消した時に現れる怪物」の正体を探ろうとする』という感じのお話で、一応は謎解きサスペンスがメインという感じの展開です。
お話のテンポもなかなか良く怪物の出現するシーンとかも適度にあって、この怪物の表現が無茶苦茶怖いため観ていてあまり退屈しないのは良い感じですね。
序盤は『明かりを点けると消える』という怪物の特徴から、犠牲者との絡みがちょっと薄くて物足りない部分があるものの、終盤では怪物の意外な弱点から絡みがガッツリと増えてモンスター映画としても盛り上がるのも良い感じ。
ただお話そのものも悪くは無いのですが、ちょっと設定が前時代的な感じで『いまどきそんな時代錯誤な精神病院あるのかよ?』とかツッコミを入れたくなったり、怪物の正体も『そんなアホな?』って感じの設定でリアリティに欠けるのが残念なところ。
また、中盤の精神病の母親とか家庭事情を描いた辺りがどうにもテンポが悪くて、ちょっと冗長な印象を受けてしまったのも残念な部分でしょうか…
あと怪物のビジュアルは最高に怖いんだけど、怪物の正体とか設定にあまりにもツッコミどころが多いせいで、リアルさがあまり感じられずに共感できないのは残念なところですね。
もうちょっとこの辺にリアリティがあって、貞子や伽椰子みたいに『自分のところにも表れるかも?』的な怖さがあれば最恐のホラーになったかもしれないので、その辺はどうにも惜しいところでした。(もしくは逆にジェイソンやフレディみたいに、イキオイに全振りするか…)
オチの落としどころとかもなかなか良く出来ていたので、その部分だけが残念だったかなぁ…
総評としましては、ツッコミどころは多いものの『なかなか良く出来た佳作レベルのオカルト風味のサスペンスホラー映画』って感じの作品です。
不満点も多少あるもののビジュアル的なインパクトやら雰囲気は非常に良く出来ているので、それだけのためにでも観て置く価値はある一本だと言えるでしょう。
予告とかで観た印象の延長でそのまま楽しめる作品ですので、予告を観て気になった人は間違いなくチェックしておいて損は無い映画ですよ。