■■■「サイレント・ナイト 悪魔のサンタクロース」■■■
(60点/オカルト)
アメリカのウィスコンシン州の田舎町。
クリスマス・イブに休暇中だった女性保安官のオーブリーは、当直の予定だったジョーダンが先週末から行方不明だという事で緊急の出勤要請を受ける。
市民からの苦情処理にパトロールに出かけた彼女は、近所から異臭がするという通報を受けた事から現場へと向かうが、その場所で何者かに殺害されたジョーダンと不倫相手の女性の遺体を発見。
同じころ、モーテルでポルノを撮影中だった男女が何者かによって殺害されるという事件が発生。
警察が証拠物件として押収されたビデオカメラを確認したところ、そこにはサンタの恰好をして仮面を付けた殺人鬼の姿が映っていたのだった…
アメリカの田舎町でクリスマス・イブの日にサンタのコスチュームを付けた殺人鬼が『悪い子』たちを襲撃するという、スラッシャーホラー映画。
クリスマスの時期になるとお約束的に作られる『殺人サンタ』ものの新作スラッシャーホラーですが、今どきにしては逆に珍しいレベルの『非常にオーソドックスなスラッシャーホラー映画』って感じの作品です。
(※追記:今どきらしくないノリだと思ったら、この映画って「悪魔のサンタクロース 惨劇の斧」という80年代のスラッシャーホラーのリメイクだそうです。オリジナル版は観た事が無いので比較できませんが、なるほどと納得です。)
お話としては『クリスマス・イブの日にサンタに扮した殺人鬼が、不謹慎な大人や子供たちといった『悪い子』を殺害してまわる』という、ある意味で非常にホラー映画らしい『まっとうな殺人鬼』が登場するお話ですね。
ストーリー的には、凶行をくり返すサンタの殺人鬼とそれを追う女性保安官の様子が描かれており、それに加えて女性保安官の過去のエピソードやら真犯人探しやらのサスペンス的な要素がちょっとだけある感じ。
とは言いつつも、いろんな要素がありながらもメインの要素はアクマでスラッシャーホラーの部分で、ひたすら『殺人鬼が暴れまわるのを楽しむ映画』だと考えて間違いないでしょう。
実際にこのサンタの殺人鬼がなかなか良い感じの暴れっぷりを見せてくれて、斧、ナイフ、鎌にはじまって、シカの角やら木材破砕機やら様々な武器を使いこなして『一人として同じ殺し方をしない』ようなレベルで犠牲者を次々と虐殺してくれるのはなかなかに痛快です。
また、殺害されるのがアホな大人や子供という『悪い子』に徹底しているのもまあまあカタルシスがあるのですが、『殺されるほど悪い事してるか?』とツッコミを入れたくなるメンツもまま居たりするので、その辺はもうちょっと配慮があっても良かったかも?
ただ殺人鬼の暴れっぷりは良い感じなのですが、サスペンス要素やドラマ要素に関してはちょっと蛇足な印象なのが残念なところ。
ヒロインの過去の掘り下げも中途半端ですし、謎解きに関してもミスリードが最初からミスリードと一発で分かってしまうような設定のため、ほとんど意味を成していません。
一応、お話が投げっぱなしにならずに、ラストでサスペンス要素の謎解きがキチンとされているのは良い部分だと思うのですが、真犯人の設定もやたらと唐突で『なんじゃそりゃ?』って感じですし、この辺の設定はもうちょっとシッカリと描き込まれていても良かったんじゃないかなぁ?
また殺害シーンが豊富でテンポが良いのは良いのですが、全体的にちょっと地味でイキオイやパワー不足が否めない部分も少し感じたので、もうちょっとパワフルでインパクトのある内容ならもっと良い作品になったんじゃないかと…
総評としましては、ごく普通に楽しめるレベルの『オーソドックスなスラッシャーホラー映画』って感じの作品ですね。
純粋に『普通のスラッシャーホラー映画』を求めている人とか、本年度向けの『クリスマスネタの殺人サンタホラー』を探しているのであれば、まあまあオススメできるレベルの一本だと言えるでしょう。
強く推すほどではないですがスラッシャーホラーとしての及第点は十分に満たした作品だと思うので、気になるのであればチェックしておいても良い感じではないでしょうか…