(60点/生物パニック)
テキサスに住む医学生のナンシーは、亡き母が教えてくれたメキシコにある秘密のビーチへとバカンスへと訪れる。
人里離れた美しい入江でサーフィンを楽しむ彼女だったが、沖合でクジラの死骸を発見し不気味な気配を感じていたところ、唐突に巨大なサメが彼女を襲撃。
とっさに近くの岩礁へと避難した彼女だったが、サメに噛まれて足を負傷してしまったうえにサメは執拗に彼女を狙って周辺を巡回。
彼女はなんとかして浜辺に助けを求めようとするが、岩礁の上にただ一人取り残されたまま、やがて満潮となって岩礁が水没してしまう時間が迫りつつあった…
人里離れた秘密のビーチで人食いザメに命を狙われて岩礁の上に追い詰められた少女が、なんとかして危機からの脱出を図ろうとする…という生物パニックもののサスペンススリラー映画。
「ジョーズ」や「オープンウォーター」に迫る傑作みたいな鳴り物入りの宣伝に期待していたのですが、ぶっちゃけて言うと実際の中身の方は良く出来てて悪くは無いんだけど『まあ、こんなもんか?』って感じの作品でした。
というか、宣伝や設定だけは矢鱈と面白そうな『いつものソニーピクチャーズのホラー映画』って感じかも…
お話としては『サメによって岩礁に孤立した少女がいかにして危機からの脱出を目指すか』というのを描いた内容で、一言で言うなら『サメをモチーフにしたソリッドシチュエーションスリラー映画』という印象。
類似作品の「オープンウォーター」に比べると、海岸まで200mというロケーションのお陰で絶望感は薄い印象ですが、『人食いザメ』という明確な敵キャラが設定されているお陰で単純な『盛り上がり』はこちらの方がある印象ですね。(まあ「オープンウォーター」はエポックメイキング的な意味合いが強い作品なので一概には比較できないですけど。)
設定としては、ワニに木の上に追い詰められて逃げ場を失うという「ブラック・ウォーター」って映画に近い感じですが、あの映画に比べると全体的なダラダラ感も少なくて良い感じ。
また『サメをモチーフとしたシチュエーションスリラー』という設定はなかなか斬新で面白いのですが、いわゆるシチュエーションスリラーの難点もそのまま持ってきてしまっている感じなのは残念なところで、とにかく序盤~中盤の『ヒロインが岩礁の上に立てこもっているだけ』で何も起こらない時間が長い…
一応、ヒロインのキャラクターとか過去とか人間ドラマ的な部分を掘り下げて、なるべく退屈させないような努力はしていますし、脇役の『カモメ』がヒロインの境遇や心情を表しているようでなかなか良い味を出しているのも良い感じなのですが…
ただ『サメがメインの映画でドラマ的な要素で頑張られてもなぁ…』という感じで、やはり限度があります。
まあ、終盤のヒロインが行動を起こしてからの展開はなかなか熱いですし、オチの付け方なんかも良い感じにまとめてはいるので最終的な満足度はそこそこ高いのですが、やっぱりサメの出番的にちょっと物足りないので『序盤~中盤にかけてももうちょっと見せ場になるシーンがあっても良かったんじゃないかなぁ?』ってのが正直なところですよ。
あと『クジラの死骸に引き寄せられてサメが現れた』(サメがクジラを殺した?)って設定のようなのですが、『サメにとってクジラの死骸という栄養も量も豊富な最高のごちそうが目の前にある状況で、わざわざ人間を執拗に狙うとかあり得るんだろうか?』ってのも正直言って疑問で、『ちょっとリアリティに欠けるかなぁ…』ってのも気になった部分ではありました。
(実際にそういう現場を撮影したドキュメンタリーとかを見た事があるのですが、当然ながら人間なんか見向きもされてなかったので…)
総評としましては、色々とツッコミどころはあるものの『そこそこ楽しめるレベルの生物パニックものシチュエーションスリラー映画』って感じの一本ですね。
全体的に良くまとまった内容で、この手のジャンルの作品が好きであれば普通に楽しめる作品ではあると思いますので、気になっているのであればチェックしておいても損は無いと思います。
予告とか前評判の高さのせいちょっと肩透かしな感じはありましたが、まあその辺はB級ホラーのお約束という事で…