■■■「テイキング・オブ・デボラ・ローガン」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)
医大生のミアは、大学の研究課題としてにヴァージニア州のエグズマという田舎町で、アルツハイマー病の患者のドキュメンタリー映画を撮影する事となる。
その町でアルツハイマーを患う老女のデボラとその娘であるサラとの生活を記録する事となるが、撮影を始めた頃からデボラの症状は急速に悪化。
幻覚を見て暴れだして自傷行為を行ったり、夜行症を起こして深夜に徘徊したりといった異常な行動を取るようになっていく。
デボラの症状に異常なものを感じたサラは彼女に精密検査を受けさせるが、症状は一向に改善せずエスカレートしていき、やがて単なるアルツハイマー症とは考えられないような、異常な現象を引き起こすようになり…
医大生たちが研究課題のためにアルツハイマー症の老女とその家族の様子を撮影していたところ、老女の異常行動が徐々にエスカレートしていきついには想像を絶するような恐ろしい現象に巻き込まれるという、サイコスリラー風味のサスペンスホラー映画。
「X-MEN」とかでおなじみのブライアン・シンガーが製作に関わった作品らしいのですが、そこまで話題とかにもなって無い割にコレがなかなかの掘り出し物でした。
お話としては、『ある医大生が課題のためにアルツハイマーの老女とその家族の様子をドキュメンタリー映画として撮影するんだけど、老女の症状が進行していくうちに単なる病気では説明できないような異常な現象が起こるようになり…』という感じの内容で、いわゆる低予算のモキュメンタリー風味のホラー映画という感じの作品です。
ただ低予算の割に非常にシッカリと作られた印象を受ける内容で、まず序盤のアルツハイマーの老女とその家族を描くドキュメンタリーの部分からして妙にリアル。
普段は聡明な感じの受け答えをする老女が、唐突に妄想に取り憑かれて他人を盗人呼ばわりして暴れ出したり、夜行症を起こして深夜に徘徊したりする様子が妙にリアリティがあって、本格的なホラー要素の部分に入る前の時点で既に怖いです。
特に中盤以降は、婆さんがいつキレて暴れたり異常な行動を取ったりするか予想がつかないために、常に無駄に緊張感があります。
サスペンス的な謎解き要素もなかなか予想外の展開に加えて、プロットが非常によく練られている感じで先の展開が読めなくて面白い。
あまり内容に触れるとネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、この異常現象や異常行動の部分と謎解きの部分の緩急のバランスが非常に良くて、とにかくテンポ良く退屈せずに観られるのが良い感じです。
またモキュメンタリーのため手持ちカメラや固定カメラの映像が多いのですが、映像も殆どのシーンで観やすく考えて作られていて、主観映像でも観ていてあんまり疲れないのも上手いですね。
あと、ややネタバレになってしまいますが、パッケージにも書かれているように確かにラスト付近の展開はなかなかに衝撃的で、身構えていたのにちょっとギョッとしてしまいましたよ。(笑)
ただちょっと残念だったのは、ラスト付近のシーンがお話の流れから、『手持ちカメラのみによるPOV的なシーン』がメインになってしまうせいで、終盤の一番盛り上がるシーンの映像がブレまくりで何が起こっているのか非常に分かり辛い事。
予算を節約しつつ迫力のある映像を撮るための手段なのかもしれませんが、終盤のシーンだけはもうちょっと見せ方に工夫があっても良かったかなぁ?
ラストの意味ありげな引きもなかなか印象的で良い感じでしたし、低予算っぽい作りながらもなかなか楽しめた作品でしたよ。
総評としましては、なかなか良く出来た『佳作レベルのモキュメンタリー風味のサスペンスホラー映画』って感じの作品ですね。
実録風味のサスペンスやらサイコサスペンス系のホラーが好きな人であれば、ごく普通に楽しめるレベルの一本だと思いますので、そういうジャンルが好きであればとりあえずチェックしておいても損は無いと思います。
パッケージを見てもどんな映画なのかサッパリ分からないうえにキャッチーさに欠ける感じですが、予想外の展開や意外性といった部分でも予想以上に楽しめてなかなかの掘り出し物という感じの映画でしたよ。