■■■「シン・ジョーズ」■■■
(45点/モンスター)
カリフォルニア州、サンディエゴのビーチで全人が焼け焦げた魚の死体が大量に打ち上げられるという事件が発生。
ライフガードのジーナとカプランが謎の事件の原因の調査を開始したところ、レジャーボートのオーナーから『炎のように真っ赤に光るサメに観光客が焼き殺されるところを目撃した』という奇妙な話を聞かされる。
最初は半信半疑の彼らだったが、その『赤く光るサメ』はあちこちで目撃され、遂には彼らの目の前に現れてボートを襲撃し、ボートの乗客の全員が焼き殺されてしまうという悲劇に発展。
その『赤く光るサメ』こそは、強い放射能を浴びた事によって核分裂エネルギーで全身から高熱を発するという、恐るべき『放射能ザメ』だったのだ…
放射能の影響で核分裂エネルギーを体内に蓄積して高熱を発するという『放射能ザメ(シン・ジョーズ)』の恐怖を描いた、モンスターパニック映画。
まず本作のタイトルですが…「シン・ゴジラ」のヒットにあやかって『放射能で突然変異を起こして全身が燃え上がるように赤熱化したサメ』に「シン・ジョーズ」というタイトルを付けたのだとは思うのですが、『全身が赤熱化していて冷却されていないと核分裂エネルギーでメルトダウンを起こす』って設定は、「シン・ゴジラ」というよりも「ゴジラVSデストロイア」に登場した『バーニングゴジラ』の特徴ですよね?
まあこの映画の制作者がバーニングゴジラを知っていたかどうかは分からないですが、この特徴で「シン・ジョーズ」という邦題を付けられるのは、いち怪獣映画好きとしては微妙に違和感を感じてしまいます。(ちなみに原題は「ATOMIC SHARK」と直球ストレートなタイトル)
…って、そんな事を気にするのは自分だけ?
とまあそんな邦題へのツッコミはさておくとして、肝心の映画の中身の方は『放射能ザメ』という尖った設定のモンスターが登場する割には、オーソドックスな作りのモンスター映画といった感じの作品ですね。
お話としては『カリフォルニア州の海岸で焼け焦げた魚の死体やら謎の観光客の事故死やらが発生するんだけど、原因を調査するうちに燃えるように赤く光り全身から熱波を発する「放射能ザメ」の存在が明らかになり…』というような感じの展開。
放射能ザメは割と序盤から出番があるのでそれなりに露出は多く、そこそこ見せ場が多めに準備されているのは良い感じです。
ただサメの出番が多い割には人間側の主人公が行動を起こすのか意外と遅くて、おかげで微妙にテンポの悪い感じのお話になってしまっているんですよね…。
放射能ザメの方も出番が多い割には、半分以上のシーンは『普通に水中から犠牲者に噛みつく』ってだけであまり面白味が無く、たまにボートに乗り上げたり上陸して行う『熱波による炎上攻撃』も『サメの周りが燃え上がる』って程度でちょっと地味な感じなのは残念なところ。
せっかくこんなゴジラのオマージュみたいな設定があるんだから、どうせなら口から熱線を吐いて軍隊と戦うぐらいはやって欲しかったです。
怪物の地味さに加えて、主要登場人物の方もいま一つ魅力が感じられるキャラクターが居らず、殺される時も矢鱈とアッサリと殺されるのでどうにも全体的に盛り上がりに欠けます。(ヒロインの父親とか『何のために出てきたんだよ?』ってレベル…)
まあ尖った設定の割には盛り上がりに欠ける内容ではありながらも、割とマメに見せ場が用意されているので退屈はしないですし、特撮も低予算ながらも壊滅的でもなくて終盤の放射能ザメとの対決シーンなんかはそれなりに盛り上がるので、そこそこ観れるレベルの出来になっているのは良い感じです。
ただ終盤が盛り上がった割にはラストの怪物退治の方法に関してはちょっとショボすぎる展開だったので、『最後はもうちょっと盛り上がる解決手段があっても良かったんじゃないかなぁ…』って感じたのは残念なところでしたよ。
総評としましては、『放射能ザメ』という尖った設定の割には『いま一つ盛り上がりに欠けるB級モンスター映画』ってのが正直な感想ですねぇ。
別にB級モンスター映画としては可も不可も無い程度のレベルって感じではあるのですが、ちょっと「シン・ジョーズ」というタイトルにタイトル負けしてしまっている印象があるので、もうちょっとモンスターなりキャラクターなりに魅力のある内容になっていれば良い感じになったかも…
まあ物足りない印象はあるものの、『ネタ映画』的に観ておきたいのであればチェックしておいても良いレベルの作品ではあると思いますので、普通に『タイトルや予告からネタ的に気になっているようならどうぞ』ってレベルの一本だと思いますよ。