■■■「パージなナイト ブラックさん家の史上最悪の12時間」■■■
(40点/コメディ)
逮捕された麻薬の売人の隠し財産をチョロまかす事で大金を手に入れた配線工のカールは、元々住んでいた危険なシカゴのスラム街を離れて、安全な高級住宅街であるビバリーヒルズへと引っ越してくる。
しかし『1年に1度、12時間だけ全ての犯罪が合法になる』という『パージの夜』が到来。
以前から詐欺まがいの行為で周辺の恨みを買っていた彼は、金持ちになったと感づかれた事から様々な人間の襲撃を受け、更には黒人がビバリーヒルズに住むことを良く思わない近所の住人までもが彼を排除しようと行動を開始し…
詐欺まがいの行為で大金を手に入れた黒人のブラックさんの一家が『パージ』の夜に様々な人間の襲撃を受けるという、コメディホラー映画。
『1年間に1度の12時間だけ全ての犯罪が許される『パージ』の夜』を題材に
したコメディホラー映画で、設定が『パージ』シリーズそのままなのでスピンオフ的な作品なのかと思いきや、制作会社とかも違うようでいま一つ関連性が良く分かりません。
勝手にパロディのネタにしただけなのかしらん?(そんなこと許されるのか?)
お話としては『麻薬の売人の隠し財産をくすねる事で大金持ちになったブラックさんの一家が、パージの夜に今まで恨みをかった相手から復讐を計画される』みたいな感じのストーリーです。
この主人公がなんというか『清々しいまでのクズ』で、賃金の不払いやらクレジットカード詐欺、生活保護の不正取得といった様々な細かい犯罪に手を染めており、金持ちになる以前に『今までのパージの夜によく暗殺されなかったな』とツッコミを入れたくなるレベル。
まあ金持ちになった事で今までの恨みを持つ人間が『借金や借りを返してもらいに来る』みたいな流れがメインなのですが、『クズな主人公が自分の行いのせいで酷い目にあう』という展開はお約束ながら悪くない設定です。
あと借金の回収以外にも、クレジットカード会社が刺客を送ってきたり、KKKまがいの差別主義者が主人公を狙って襲撃してきたり…といったブラックなネタが各所に挟まれてる辺りは、パンチが効いててなかなか笑わせてくれます。
ただ設定そのものは面白いと思うのですが、肝心のコメディ要素がイマイチなのはちょっと困りもの。
基本的に主人公のクズっぷりをネタに笑うというコメディなんでしょうが、個人的には主人公がクズ人間すぎて1ミリたりとも共感できなかったため、序盤は『さっさ酷い目にあってくれないかな?』って以外の感想が浮かばない感じでイライラしますし、中盤以降の『刺客』がやってきてからの展開に関しても、殆どの刺客が勝手にアッサリと死に過ぎるせいで、いま一つ盛り上がりに欠ける印象。
なんというか、主人公たちが酷い目にあう方向にも危機を脱する方向にも、あまり爽快感が無くて全体的にカタルシスに欠けるんですよね。
また、途中でちょこちょこと挟まれるパロディネタもちょっと分かり辛くて、『えっ、そこは笑いどころなの?』って感じのシーンが多いので、もうちょっと分かりやすいネタの仕込み方をして欲しかった。(まあ日本人には分かりにくいネタってのもあるのかもしれませんが…)
ラストも凄いアッサリしてて、全体的にもうちょっと盛り上がるシーンがあっても良かったんじゃないかなぁ…ってのが正直なところ。
ただ、オチの『さらに酷いホラー映画』に繋がる展開はちょっと笑わせて貰いましたが…
総評としましては、コメディとしてもサスペンスとしても全体的に『いま一つ盛り上がりに欠ける感じのコメディホラー映画』って感じの作品ですね。
ネタとかには悪くない部分もあるのですが、主人公に全く感情移入できないのとちょっとネタがアッサリしすぎなのが残念なところでした。
「パージ」シリーズとして楽しむというにもちょっと無理がある感じではありますが、シリーズのパロディネタとして気になっているのであれば、壊滅的にツマんない訳でも無いのでとりあえずチェックしてみても良いかもしれませんよ。