NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「インサニティ」(60点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「インサニティ」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)

 スティーブと恋人のブリーは、独立記念日の休暇を利用して仲間たちと共に6人で無人島のコテージに訪れる。

 仲間と共にお酒やドラッグをやりながらパーティを楽しみ始めた彼らだったが、そのうちに唐突にメンバーの一人が仲間に対して異常に威嚇的な態度を取るようになり、そのまま森の奥へと姿をくらませてしまう。

 その頃、シアトルでパーティを行っていた若者たちが唐突に殺し合いを始めるという奇妙な事件を調査していた刑事のジェイクは、『使用した人間を極度に凶暴化させて殺し合いをさせる』という成分の含まれた恐るべきドラッグの存在を知るが…



 『人間を凶暴化させて互いを殺し合わせる』という謎のドラッグの恐怖を描いた、サスペンススリラー映画。

 少し前にアメリカで話題になった、いわゆる『ゾンビドラッグ』を元ネタにした作品という感じでしょうか?(実際に使用した人間がゾンビのようになって、他の人間を食い殺すという事件が発生した。)
 アイデア自体は時流に乗った感じで割とありがちなネタながらも、予想以上に良く出来た作品でした。

 お話としては、無人島で6人の若者たちがパーティを行うか、そのうちにドラッグを使用したメンバーがだんだんおかしくなっていき、遂には殺し合いを始めてしまい…』という感じの展開。

 『ドラッグ』という小道具を使用しているだけでプロットとしてはゾンビものとかと同じようなノリなので、そこまでの目新しさは無いのですが全体的に非常にソツなくまとまっているのが良い感じです。

 この手の『若者たちが閉鎖環境で集まって遊んでいるうちにトラブルに巻き込まれる』という作品のお約束として、序盤は結構ダラダラとしたパーティの様子が描かれたりするのですが、本作は主人公たちの様子に並行して『別の場所で起こった殺人事件を調査する刑事』の様子が描かれて、謎解きパートが同時進行して進んでいくために退屈しないで観れるというのは、なかなかに上手い構成ですね。

 この謎解きパートにもそれなりに見せ場があるので、本編が盛り上がってくるまで退屈しないで済むのに加えて、閉鎖環境での小規模な話という感じじゃなくて世界観に広がりが感じられるのも良い感じです。

 またドラッグを使った人間は凶暴化して、最終的に28日後....」の感染者のような『活きの良いゾンビ』みたいになってしまうのですが、この設定自体は特に珍しいものでもないものの、本作では『感染者』どうしも普通に殺し合いをするため、狂気に駆られたソンビ状態の人間同士のガチバトルがところどころで展開されたりするのは、なかなか他作品には無いノリといった感じ。

 ただお話の構成は非常に上手いと思うものの、原則として非常に低予算な作りのためあちこちに安っぽさが感じられてしまい、特に残虐シーンの特撮がちょっとショボ目で作り物っぽさがありまくりなので、いま一つ盛り上がり切れない部分があるのは残念なところです。

 またところどころで説明過剰なシーンがあって『そこまで丁寧に説明してくれなくてもいいよ』とツッコミを入れたくなったので、もうちょっと省くところは省いても良かったかも?

 あと、ちょっとネタバレになってしまいますが、オチの後味の悪さが良い意味で『ホラーらしいオチ』という感じで、非常に良い味を出していたのもなかなか良かったです。

 ただ、オチの後の矢鱈と長くて説明的なエピローグはちょっと蛇足に感じたので、ラストの展開はもっと短くて簡潔でも良かったかも?


 総評としましては、低予算で安っぽい内容ながらも『低予算なりに上手く作られた良作レベルのサスペンスホラー映画』って感じの作品です。

 この手の『若者たちが閉鎖環境で殺し合いを余儀なくされる』みたいな系列の作品が好きであれば、なかなかに楽しめる内容だと思いますので、そういうタイプのホラーが好きならば観ておいても損は無い一本でしょう。

 個人的には、特に前評判も聞いていなかったですし予告とかでも注目していなかったのですが、予想外に楽しめた掘り出し物的な映画という感じでしたよ。