■■■「フリークス・シティ」■■■
(45点/モンスター)
アメリカの片田舎にあるディフォールドの街。
この街では、人間と一緒にヴァンパイアとゾンビが暮らし、ヴァンパイアには血液、ゾンビには脳ミソが配給されて微妙なバランスの下に3つの種族が共存していた。
街の高校に通う冴えない高校生のダグは、風変わりな両親に悩まされながら、学校のマドンナであるローレライに恋をしつつも勇気が出せずに告白できずにいるといういかにも高校生らしい平穏な日常を送っていたが、そんなある日、街の上空に巨大なUFOが出現。
もともと他の種族に不信感を抱いていた彼らは、『エイリアンの出現は他の種族の陰謀だ』と考えて種族同士で大抗争を始めてしまう。
街が混乱に陥るなか、ダグは幼馴染でヴァンパイアのペトラ、秀才でゾンビのネッドらと協力して、エイリアンの出現した本当の目的を探ろうとするが…
人間とヴァンパイアとゾンビが共存するという奇妙な街にエイリアンが襲来し住民たちが大パニックに陥るという、コメディ風味のモンスターホラー映画。
TSUTAYA先行レンタルの作品で、いかにもアメコミ風味のコメディ的でなかなか個性的な設定ではありますが、肝心の中身の方は『設定としては面白そうなのに実際はちょっと微妙な感じ』といういかにもTSUTAYA先行クオリティって感じの作品でした。
お話としては、『3つの種族が共存する街に突然に巨大なエイリアンのUFOが出現、他の種族を快く思わない3つの種族は争いを始め、混乱の最中に遂にはエイリアンも街の人たちを攻撃を始めるが、果たしてエイリアンの真の目的は何なのか…』みたいな感じのストーリー。
混乱する街を舞台に『人間の高校生の主人公がヴァンパイアとゾンビの幼馴染と一緒に街を救おうとする』という展開で、いわゆる青春ものの成長ストーリーみたいなのがベースになっている感じの内容。
とまあ、ここまでの話を聞くとそこそこ面白そうに聞こえるのですが、実際の映画の中身の方は正直言って微妙な感じといったところ。
そもそも3つの種族が争いを始める理由に無理がありすぎで、そもそもUFOが上空に出現したからといって『他の種族の陰謀だ』とは普通に思わんでしょう…(冷戦時代のアメリカとソ連じゃないんだから)
そんな程度で大抗争が勃発するようなら、普段からどんだけお互いに不信感を抱いているんだって感じで、コメディとしても流石にちょっと引っかかります。
またコメディ要素として、主人公たちの両親や街の権力者やらがコミカルで個性的に描かれているのですが、このコミカルな要素がちっとも面白くなく、主人公たちもイマイチ魅力を感じない煮え切らないキャラのため、観ていてむしろ腹が立つレベルで物凄くイライラしましたよ。
というか、全体的にコメディの要素のセンスが悪くて全く笑えないのは困りものです。
人間とヴァンパイアとゾンビという3つの種族の個性もあまり活かされておらず、どちらの種族も考えなしに人間を襲うだけなので種族を3つに分けたメリットが殆ど感じられない構成なのも残念なところでした。
(秀才の少年が『悩みの無さそうなゾンビに憧れる』という設定だけはなんとなく納得しましたが…)
ただ設定やらストーリーやらは全般的に微妙なのですが、お話のテンポが良くてアクションシーンやら特撮なんかはそこそこ見応えのあるレベルになってるのは本作の良いところと言えるかも?
そこそこ予算もかかってる感じなので、細かいことを気にせずに画面を眺めているだけでもそれなりに楽しめる作品になっているのは良い感じでしたよ。
まあ逆に細かい部分を気にしだすと、ツッコミどころが多すぎていま一つ楽しめないのは難点ではあるんですが…
総評としましては、楽しそうな設定の割にはコメディ要素が微妙で『いま一つハマりきれないコメディホラー映画』って感じの作品ですね。
作品自体の完成度はそこまで低くないので、コメディ部分のセンスが合うかどうかが楽しめるかどうかの分岐点になりそうですが、自分はどちらかというと不快な要素の方が強くてちょっとダメでした。
予告とかを見て気になっているのであれば、特に観るのを止めるほどではありませんが、個人的にはあまりオススメはしない作品ですよ。