NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「インバージョン 転移」(55点/サスペンス)

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■■■「インバージョン 転移」■■■
(55点/サスペンス)

 どこかの山小屋のような場所で意識を取り戻した大学生のアダムは、自分の体のあちこちにできもののようなものが出来て、辺りの壁に「思い出すこと」とか「中に誰も入れるな」という奇妙なメモが残されている事に気づく。

 混乱しつつも時間の経過とともに徐々に記憶を取り戻すが、その記憶は、自分が山中のキャンプ場に友人や近所の子供たちとともにサマーキャンプに訪れた事や、キャンプ場の近くの山中に飛行機が墜落したために現場に救助に向かった事、そしてその墜落現場でゾンビのようになった乗員に遭遇し、仲間が口から黒い液体を吐きかけられた事…という異様なものだった。

 加えて思い出した記憶の中に、明らかに他人のものと思われる記憶が混ざっていた事から、彼は更に混乱していくが…



 山中のキャンプ場の近くに墜落した飛行機の救助に向かった青年たちが、その場所でゾンビのようになった異様な状態のパイロットに遭遇するが、果たして彼らの見に何が起こったのか…といった感じの、サスペンスホラー映画。

 いわゆる隔離された山小屋が舞台の『閉鎖環境型のサスペンスホラー』ですが、『山小屋に閉じこもっている主人公が記憶を少しづつ取り戻していく事でお話が進行していく』という、ちょっと特殊な構成のシチュエーションスリラー的な作品です。

 お話としては『とある大学生がサマーキャンプに出掛けるんだけど、そこで飛行機の墜落を目撃。墜落現場に向かったところゾンビのようになったパイロットから仲間の一人が黒い液体を吐きかけられ、その症状が他の仲間へも感染していき…』みたいな感じの内容。

 設定だけ聞くとゾンビものっぽい印象を受けるのですが、ノリとしてはゾンビものよりもSFに近い設定で、ちょっと捻りの効いた展開になっているのは良い感じ。

 主人公が自分の身に起こった事を『思い出す』事によってお話が進んでいくのですが、最初のうちは全く分からなかった伏線が徐々に解明されていき、謎が一つに繋がっていくという展開は普通に面白いです。

 またシチュエーションスリラー的な展開のせいで主人公のモノローグ的な部分が多いのですが、主人公のキャラクターがなかなか好感の持てる好青年として描かれているため、独白を聞いているだけでも観ていてあまりストレスを感じないのも良いですね。

 ただ個性的な設定やら作品の構成やらは面白いと思うのですが、全体的に山場となる部分が少なくて盛り上がりに欠けるのは辛いところ。
 全体的にお話の展開も遅めのため、観ていてちょっと冗長さを感じるんですよね。

 登場人物も物凄く少ない(というか主人公しか出てこないようなシーンが結構長い)ので、物凄く小粒な印象を受けてしまうのも残念なところです。

 ところどころで挿入される『科学者の回想』みたいなところでもっと派手なシーンを準備するなり、もうちょっと見せ場になるようなシーンがあれば良かったのになぁ…という感じ。

 ラストの落としどころも悪くはないと思うのですが、ちょっと盛り上がりに欠けるとに加えてやや投げっぱなしな感じのオチのため、人によって評価が分かれる感じかも?


 総評としましては、そこまで高評価するほどではないものの『それなりに観れるレベルのシチュエーションスリラー風SFサスペンス映画』って感じの作品ですね。

 謎解きのアイデアや構成など評価すべき部分もあるのですが、そこまで突き抜けた個性になっている訳でも無いので、一発ネタとしても弱さを感じるのが惜しいです。

 まあでもそれなりに楽しめるレベルではあるので、予告とかを観て気になっているのであればチェックしておいて損は無い一本だと思いますよ。