■■■「VRミッション:25」■■■
(60点/サスペンス)
ある日、とある無人ビルのフロアーに8人の男女が集められる。
彼らは全員が腕に覚えのあるオンラインゲーム(FPS)のプレイヤーたちで、謎の企業から最新のテクノロジーを駆使したVR(バーチャルリアリティ)ゲームのベータテストのプレイヤーとして招待された面々だった。
彼らは高分子マトリクスで作られたボディスーツをヘルメットを着用し、驚くほどリアルなグラフィックの仮想現実空間でテロリストを排除するというゲームのテストプレイを開始。
美しいグラフィックや臨場感に興奮するもつかの間、現実としか思えないリアルな戦場で自分たちが撃たれた際に実際に撃たれたかのような衝撃を受けるという異常な仕様に恐怖を感じた彼らは、恐怖を感じてゲームを辞退して逃げ出そうとするも、スーツがロックされて脱ぐことも出来ずビルから脱出する事も出来ないという、ゲームを続行するしかない状況に置かれている事に気づく。
仕方なくゲームを続行する彼らだったが、やがて敵に撃たれた仲間の一人が本当に死亡するという事件が発生し…
ゲーム内での死が現実の死に直結するという『死のゲーム』に参加する事になった男女が味わう恐怖を描いた、サバイバル系サスペンススリラー映画。
『VR(仮想現実)ゲームの中で死んだら現実でも命を奪われる』という、今どきではちょっと手垢の付いた感じの設定(この間まで人気アニメでもやってましたし…というかネタ的にあのアニメのリスペクトっぽい部分もあるかも?)ではありますが、中身の方はそこそこ良く出来たサスペンススリラー映画という印象の作品ですね。
設定自体はまあまあありがちな感じの内容なのですが、VR(仮想現実)空間の描き方がなかなか良く出来ており、実際の空きビルに『廃墟』の映像を重ねてそこでテロリストと戦うという内容なのですが…
廃墟の『VR空間』(正確にはMR(混合現実)かも?)と『現実空間』(ボディスーツに身を包んでヘルメットを被ってる)を交互に描いて、『現実世界の延長線上で戦っている』というのを表現して非現実的になりすぎないようにリアル感を持たせているのは、作りとしてなかなか上手いです。
また『敵に撃たれても一定時間以内に回復アイテムを使うと助かる』とか『ステージ毎に武器やアイテムが補充される』とかって仕様もいかにもFPSな感じですし、ズルをしようとしたり逃走しようとしたりすると与えられるペナルティとかも妙にゲーム的で、『ゲーム世界の中で戦っている』という雰囲気を良く出しているのもなかなか良い感じ。(というか監督がこの手のゲームの事を良く分かっている印象。)
ただ雰囲気やら設定やらは良い感じなのですが、アクション映画として見るとイマイチな部分が多いのはちょっと残念なところ。
特に戦闘が全体的に地味でいま一つ盛り上がりに欠ける印象で、戦ってるシーンがあんまり面白くないんですよ…
まあ主人公たちは殆どがアクマで『ゲームが得意な人』なので、実戦経験が無いんだからアクションがショボくても仕方ないんでしょうが、そこは嘘でも良いからもうちょっと派手に描いても良かった気がします。
あと敵の攻撃とか逆境とかも全体的に手ぬるい感じで、いま一つ緊張感が薄いんですよね…
全体的に、もっと『命がけでシビアに戦っている』という雰囲気をもっと強く出しても良かったんじゃないかなぁ?
それでも終盤では、この手の作品ではお約束の仲間同士の裏切りがあったり、熱い展開があったり敵の攻撃もシビアになったりして派手な展開になってくるのですが、いかんせん盛り上がってくるまでがちょっと冗長な印象なんですよね。
ただ『謎の存在によって仕組まれたデスゲーム』という投げっぱなしになりそうな設定の割に、オチが最後までシッカリと描かれてていたのは良かったかも?
総評としましては、低予算でありふれた題材ながらも『そこそこ良くまとまったアクション風味のサスペンススリラー映画』って感じの作品です。
VRゲームを題材にした作品としては割と良く出来た類だと思うので、そういうジャンルに興味があればチェックしてみても良いかもしれません。
とまれ、派手さもあまり無いですし強くオススメするほどではないものの、予告とかで気になっているのであればとりあえず観ておいても損は無い程度の一本というところでしょう。