(50点/サスペンス)
1978年、ノルウェーの小さな村で、兵役から戻ったダグは消防団長の父の指揮する消防団へと入る事となる。
そんなある日、森で不審火が発生。
ダグは父たちとともに出動し無事に火を消し止めるが、それから村のなかの空き家や小屋といったあちこちで不審火が発生するようになる。
毎回現場に駆けつけて消火活動をおこなう消防団たちが徐々に疲弊していくなか、警察は相次ぐ不審火に『地元の地理に詳しい消防団員の誰かが連続放火を行っているのではないか』と疑いを抱くようになるが、実はダグこそがその連続放火の犯人だったのだ…
兵役を終えて帰郷し目的を失った若者が連続放火魔になっていくという、ノルウェー製のサスペンススリラー映画。
いわゆる『実話をベースとしたサスペンス映画』のようですが、なんとも欧州映画らしいジットリとした感じの地味なサスペンス映画といった感じの作品です。
お話としては、『兵役から戻って目的を失った若者が父親の指揮する消防団に所属するうちに、ストレスから放火を繰り返す放火魔となっていく…』みたいな感じの内容。
サスペンスというよりは『人間ドラマ』が中心と言った構成で、徐々に放火という行為に取り憑かれていく主人公の心理や、それに対して自分の息子が放火魔なのではないかと疑いを抱く両親の心理が中心に繊細に描かれているという感じのテイストです。
ただ心理描写とかに関しても、『主人公の連続放火の動機』とか『秘密を知った両親の心理の流れ』とかもあまり直接的には描かれずに、なんとなく『雰囲気で察しろ』って感じの展開で、その辺はいかにも欧州映画的なノリですね。
欧州映画らしく、雰囲気映画や人間ドラマとしては良い感じに仕上がっているものの、サスペンスとしては正直言ってちょっと冗長な感じ。
連続放火といっても、基本的には誰もいないような小屋や空き家が狙われるのであまり緊張感とかはありませんし、主人公が放火するシーンが最初からバッチリと描かれているので謎解き的な要素も皆無。
主人公も終始淡々と行動しているので、なんとなく気持ちは分かるもののハッキリとした動機とかが分からないため、どうにも釈然としない感じに…
ラストのオチとかも、事件が解決してるんだかしてないんだかハッキリとしないような描かれ方ですし、終始モヤっとした気持になるような作品でしたよ。
総評としましては、いかにも欧州テイストの『雰囲気映画風味の地味なサスペンススリラー映画』って感じの作品です。
ノリやテイスト的に悪くないとは思うのですが、スッキリしない映画が苦手な人とかは楽しめるかどうか微妙な感じの内容なので、正直に言って見る人を選ぶ映画という印象ですね。
人間ドラマ系の欧州サスペンスとかが好きな人ならば楽しめる作品かもしれませんので、その手のジャンルが好きならばチェックしてみてもよいかもしれません。
ちなみに自分的には、全体的にモヤモヤしすぎてどうにも苦手なタイプの映画でした。