■■■「リバイアサンX 深海からの襲来」■■■
(30点/モンスター)
海洋生物学者のオリーブは、新型の潜水服の実験中に水深360mの深海で正体不明の生物の襲撃を受ける。
意識を失ったところをなんとか救出された彼女は、自分の潜水服を調査中にスーツに付着した何かの卵のようなものを発見。
今回のミスからプロジェクトを解雇される事になった事から、謎の卵を密かに自宅に持ち帰り自分の研究室で研究しようとするが…
とある生物学者が深海で遭遇した謎の生物の『卵』を持ち帰ったところ、その卵から驚くべき生物が出現し…という、モンスターホラー映画。
タイトルからして未知の深海生物を題材をした生物パニックものっぽいですが、実際の中身の方はオカルト要素が強い作品です。
というか、主人公の出身がミスカトニック大学だったり、謎の生物が精神感応っぽい能力を持った頭足類(タコ)だったり、生物の存在が古代の壁画に記されていたりとか、まるっきり『クトゥルフ神話』を題材にしたお話ですね。
お話としては、『海洋生物学者の女性が解雇された腹いせに『謎の生物の卵』を自宅に持ち帰ったところ正体不明の頭足類が誕生し、生き物の調査を進めるうちに徐々に狂気に駆られていく…』みたいな感じの内容。
クトゥルフものらしく『狂気』が題材になったシナリオはなかなか良く出来ており、ヒロインの精神状態が徐々におかしくなっていく様子が丁寧に描かれている部分はなかなか良い感じではあります。
怪物の正体の謎解きプロセスやらお話の展開にもちょっと意外性がありますし、ラストも割とインパクトがあったりして、その辺の要素だけ取り出すとそこそこ面白くはあります。
ただ普通にモンスター映画としてみると、とにかくお粗末さが目につく内容で、まず何が酷いってとにかく特撮がショボい。
最初に卵から誕生する『タコ型の生物』がどうみてもビニール製のオモチャにしか見えずのっけから物凄くチャチな作りです。
成長してそこそこ巨大(といっても民家の地下室に隠しておける程度)になった後は『触手』ぐらいしか画面に登場しなくなりますし、とにかく低予算っぷりが非常に目につきます。
新種の生物を発見した主人公の対応も『生物学者とは思えないぐらいのぞんざいっぷり』で、謎の生物をたいした調査もせずに『水の入っていない水槽に放り込んで放置する』という物凄く適当な扱い。
まあ、結果として怪物は『クトゥルフ神話のモンスター』なので水槽に水が無かった程度でどうにかなるような生き物でも無いんですけど、そこはもうちょっとリアリティを考えて描けよという感じですよ…
ストーリーの方も、モンスター映画かと思いきやサスペンス的なノリがメインで、怪物の話よりも『主人公と恋人がウダウダしている様子』とか、『主人公の妹を含めた三角関係』やらがダラダラと描かれるシーンが多くて、ハッキリ言って非常に冗長でテンポが悪くて退屈です。
まあ『主人公が狂気に駆られていく様子が丁寧に描かれている』って点では良いと言えなくも無いのですが、モンスターの出番が少なくて扱いがぞんざいなうえに、襲撃シーンとかも『イメージ映像』状態で殆どマトモに怪物の姿が描かれないために、正直に言って見せ場が無さ過ぎて物足りなさ過ぎ…
予算が無かったにしても、モンスター映画だったらモンスターをもっとメインらしく扱うなり、もうちょっとバランスを考えて映画を作れよと言わざるを得ません。
あと終盤の展開とかに関しても『クトゥルフ神話』というベースが理解できている人には割と分かりやすいストーリーだと思うのですが、逆に全く知らない人が見たら『なんのこっちゃ?』って感じの超展開だと思うので、『シリーズの世界観を知らない人には唐突すぎて微妙なオチなんじゃないかなぁ…』という気がしてしまいましたよ。
総評としましては、物凄く退屈で低予算で物足りない内容の『D級ぐらいの微妙なモンスター映画』としか言いようが無い感じの作品ですね。
『クトゥルフ神話』ものが好きであればかろうじて楽しめるレベルではあるの思うのですが、オススメできる内容かと言われると流石に厳しいところ…
逆にパッケージを見て『まっとうなモンスター映画』だと期待してると肩透かしを食らわされる内容だと思いますので、そういうノリを期待しているならば要注意な作品と言えるかもしれませんよ。