NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的」(65点/サスペンス)

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■■■「クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的」■■■
(65点/サスペンス)

 マドリードの市街地にあるバルで、一人の男性がバルから外に出た瞬間に何者かによって狙撃されるという事件が発生。

 店内の客たちはパニックに陥りつつも撃たれた男の様子を確認しようともう一人が外に出るが、一人目と同様に狙撃によって殺害されてしまう。

 残された8人は、自分たちの置かれた状況を確認しようとするが、何故か大通りには人っ子ひとり見当たらず、携帯すら通じずに、姿の見えない狙撃手によって自分たちがバルに閉じ込められてしまった事に気づく。

 更に、目を離した隙に道路にあった2人の遺体がこつ然と消えたうえに、これほどの事件にも関わらず、自分たちの事がニュースでも全く報じられて居ないという異様な事態から、もしかして客の中にテロリストや要人が居て、自分たちは政府か何かの巨大な陰謀に巻き込まれてしまったのではないかという疑いを抱くようになるが…



 姿の見えない狙撃手によって街角のバルに閉じ込められてしまった8人の客たちのパニックを描いた、スペイン製のサスペンススリラー映画。

 理由も分からないままに唐突に街角のバルに閉じ込められた客たちの様子を描くという、いわゆる閉鎖環境型のシチュエーションスリラータイプのお話ですね。

 シチュエーションスリラー系のお話って、ラストまで観ても事件の謎が解明しないような作品とかも結構ありますが、本作は突拍子もない設定の割にはキチンと事件の謎が解かれる作りになっているので、その辺は安心して観れる内容です。

 お話としては、『街角のバルから店外に出た客が次々と狙撃によって殺害され、バルに残った客たちは極限状況から疑心暗鬼に陥っていく…』みたいな感じのストーリー。

 いわゆる疑心暗鬼に陥った人間たちの対立やらパニックを描きつつ、事件の謎を追うという謎解き系のサスペンスなのですが、割とサクサクと謎解きが行われてお話が進んでいくので非常にテンポが良いです。

 ストーリーも普通の監禁型サスペンスなのかと思いきや、中盤から予想外の方向に話が進んでいくというなかなかに意外な構成なのも面白いですし、シチュエーションスリラーの割には状況が変化する事による場面転換も多くて、途中であまりダレずに観れるのは良い感じですね。

 ただシチュエーションやらストーリーやらは良く出来ているのですが、個人的にはそれ以外の部分で『うーん…』と感じる部分が多かったのは気になるところ。

 『極限状態に置かれた人間たちがパニックから本性がむき出しになっていく…』みたいな感じのノリなのですが、登場人物が最初から変人ぞろいで本性がむき出しになる前から不快なキャラが多いのは困りもの。

 不快なノリのキャラが本性をむき出すと『実はいい奴だった…』なんていう事も無くて、お話が進むと更に身勝手で不快になっていくので、観ていてちょっとイライラしてしまいました。

 というか、こういうシチュエーションで感情移入できるキャラが居ないと、『別に全員死んでも良いんじゃない?』みたいな感じになってしまって、どうにも盛り上がりに欠けるんですよねぇ…

 もうちょっとギスギスした部分以外の人間ドラマ的な要素でもあれば良かったと思うのですが、まあ独特の雰囲気でお馴染みの『欧州映画らしいノリの作品』とも言えるかも?

 あと終盤の展開もなかなか盛り上がる感じで良く出来ているのですが、ラストはやや投げっぱなしな部分もあるので、そういうのが気になる人はモヤモヤしてしまうかもしれません…


 総評としましては、そこそこ観れるレベルの『シチュエーションスリラー風味の閉鎖環境型サスペンス映画』って感じの作品ですね。

 強くプッシュするほどではないですが、予想外のシナリオやらシチュエーションやらで面白い部分もありますので、気になるのであればチェックしておいても損は無いかなぁ?

 ややケレン味の強い内容なのでちょっと人を選ぶ作品だと思いますが、その手のシチュエーションスリラーが好きならばそこそこオススメできる一本ではないかと…