■■■「ブラッディ・ツイン」■■■
(60点/サスペンス)
自転車便ライダーのヘレンは、ある日、交通事故で頭を負傷してから、夢遊病のような意識の喪失や記憶の欠落、幻聴や幻覚といった異常な症状に悩まされるようになる。
原因を調べるためにMRIで脳の検査を受けところ、ヘレンの脳内に生まれる前に消失した双子である『バニシング・ツイン』の痕跡がある事が発覚。
それが事故の治療で投与された化学物質のせいで急成長し、彼女の人格に影響を与えている事を知る。
脳腫瘍と同様に放置しておくと危険な状態である事から、彼女は3日後に緊急摘出手術を受ける事となるが、そういている間にも凶暴な彼女の『双子』の人格は急成長してヘレンを支配するようになっていき…
生まれる前に消失した双子である『バニシング・ツイン』が事故の影響で急成長し、凶暴な人格で元の双子の肉体を支配していく…という、サスペンスホラー映画。
バニシング・ツインを題材とした多重人格ホラーという設定ですが、多重人格を題材としたサスペンスは割とありがちな事から、そこまで特に期待もせずに観てみたのですが『意外と面白いんじゃない?』って感じの内容でしたよ。
お話としては『とある女性が交通事故で頭に傷を負うんだけど、それ以来、夢遊病のような症状に悩まされるようになってMRIで脳の件さをしたところ、脳内から生まれる前に消失した筈の『バニシング・ツイン』の肉体が発見され、それが急成長している事が判明する…』みたいな感じの展開。
設定的にはちょっと特殊なものの、いわゆる『多重人格の片割れが凶悪な性格だった』というプロットとしてはそこまで珍しくもない内容なのですが、サスペンスとしての組み立て型がなかなか上手いのが特徴で…
『主人公が意識喪失している間』の状況が視聴者にも良く分からずに、後から『意識喪失している間に何が起こった』かの『結果』だけを提示されるという展開がなかなか面白く、主人公の感じる理不尽な恐怖やら、サスペンスとしての緊張感と謎解きとしての面白さをバランス良く両立させているのは良い感じです。
また単なるサスペンスかと思いきや、終盤の強引すぎる超展開には思わず笑ってしまいましたよ。
ネタバレになるのであまり詳しく書きませんが、唐突過ぎる『オカルト映画かよ!』って感じの怒涛の展開は、『いかにもB級映画』ってテイストのノリで一見の価値あり。
ただ『そこまで頻繁(ひんぱん)に意識を喪失するなら、素直に病院で保護して貰えよ!』と思う部分とか、主人公の行動に色々とツッコミを入れたくなる部分も多く、シナリオにも粗削りだなぁと感じる要素も多いです。
また終盤は結構盛り上がるものの、中盤の展開はそこまで派手な事件も起こらないためちょっとダレがちですし、割とどうでも良い感じのセックスシーンが妙に長くて多かったり、なにかと無駄な部分も多いのは難点かなぁ?
ラストもちょっと投げっぱなし気味なので、もうひと捻り欲しかったところではありますよ…
総評としましては、あまり期待していなかった割には『そこそこ楽しめる内容のサスペンスホラー映画』って感じの作品です。
『多重人格もの』とかの設定が嫌いじゃなければそれなりに観れるレベルですし、色々とブッ飛んだノリの部分もあって割と見どころもある印象。
予告編とか設定とかが気になるようならば、とりあえずチェックしてみても損は無い一本ではないかと思いますよ。