NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ラスト/ナイト」(25点/モンスター)

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■■■「ラスト/ナイト」■■■
(25点/モンスター)

 ある一人の女性が、深夜の森の中の事故を起こした車の中で拘束された状態で目を覚ます。

 事故の影響で記憶を失っており、更には隣の座席に見知らぬ女性の死体を発見した事からパニックに陥るが、なんとか自力で拘束から抜け出して車内から携帯電話を発見。

 電話で連絡を取ったサムと名乗る同僚らしき男性と合流するが、突如として現れたゾンビの群れによってサムは食い殺されてしまい、途方に暮れる事に…

 その後、自分の姉だと名乗るサラという女性から電話を受けた彼女は、サラから自分がCDC(疾病対策センター)の局員で、現在、全世界で猛威を振るっているゾンビウィルスの解毒剤の開発に成功した事が原因で誘拐されたのだという驚くべき事実を知らされ、森の中に救助を送るために現在位置を確認するよう指示されるが…



 事故を起こした車の中で目を覚ました記憶喪失の女性が、孤立無援でゾンビに囲まれた状況からなんとかして脱出しようとする…という、シチュエーションスリラー風味のモンスターホラー映画。

 記憶喪失に加えて『ゾンビに囲まれた状況』という特殊なシチュエーションですが、ノリとしてはいわゆる閉鎖環境タイプのシチュエーションスリラーって感じの作品ですね。

 お話としては、『ゾンビに囲まれた状態のうえに記憶喪失で自分の居場所すら分からない状況に置かれた主人公が、唯一の外界との交信手段である携帯電話で通話する事によって、徐々に現在の状況に陥った理由と事件の真相に近づいていく…』みたいな感じの展開で、タイプとしてはモンスター映画というよりも謎解きがメインのサスペンス映画という感じの内容です。

 作品のシチュエーションやアイデアはなかなか面白くて、電話での通話を繰り返すごとに少しづつ『自分の置かれた状況』や『何があって自分がこの事件に巻き込まれたのか』が明らかになっていくという構成は悪くない感じ。

 また孤立無援の森の中と言いながら、ちょこちょこと他のキャラクターが絡んで来たりして、なんとか退屈しないようにしようと工夫が見られるのも頑張っている部分ではあると思います。

 …が、アイデアや構成以上になんというかこの映画、とにかく観ていてイライラするんですよ。

 何がイラつくって、主人公が非常に性格が悪くて独善的なキャラだという事。

 ピンチに陥る理由の半分ぐらいは自業自得だったり、本人のツメの甘さが原因な感じだし、主人公に同情や感情移入できるような要素もあまり無いため、観ていてもあまり主人公を応援しようという気が起こりません。

 また、多少シチュエーションを工夫しているとはいえ、基本的にお話が地味で退屈なのは困りもの。

 というか、本編の7割ぐらいは『主人公が電話で誰かと会話しているだけ』といった感じですし、更にお話の舞台が『事故を起こした車の周辺の半径10m程度』というスケールの小ささなのに加えて、『登場するゾンビの群れも最大で10匹程度』というショボさなので、全くもって盛り上がりに欠けます。

 この『地味で退屈な内容』と『性格の悪い主人公』のコンボのお陰で、個性的なシチュエーションの割には『ビックリするほどイライラする映画』になってしまっているんですよね。

 まあただ、そういうシチュエーションの映画なので終盤には『ロクでもないオチ』になるのが容易に予想が付いたりするのですが、途中までのイラつく展開を考えると予定調和的な『バッドエンドのラスト』はある意味ではカタルシスのある展開とも言えるかも…


 総評としましては、『全体的にショボくて物凄く退屈なシチュエーションスリラー風味のモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。

 予告とかで観るとシチュエーションは意外と面白そうな感じなのですが、ホントにシチュエーション以外に観るべき部分がなく、映画そのものは普通にツマんない内容なので、ぶっちゃけあまりオススメはできません。

 何かネタ映画的に『シチュエーションの凝った映画』を探しているとか、なにか『やんごとない理由で無性にイライラしたい人』とかであれば、チェックしてみても良いかもしれませんので、そういう奇特な理由で映画を探している人が居れば観てみても良いんじゃないでしょうか…