■■■「キリング・ファミリー 殺し合う一家」■■■
(55点/サスペンス)
元公務員で失職中のハビアルは、ある日、疎遠になっていた母親と弟が母親の内縁の夫であるモリナという男に撃ち殺されたと聞かされて、確認のためにブエノスアイレス北部の田舎町へと向かう事となる。
その場所で母親たちを殺して自殺したというモリナの代理人であるドゥアルテという男と、腹違いの弟であるダニエルと出会った彼は、地元の事情に明るいドゥアルテの世話になりながら、保険金の受け取りや遺産の処分といった手続き行う事となる。
しかしドゥアルテ達は実は、罪の無い人々を誘拐してきては身代金を要求する『誘拐ビジネス』に手を染めるならず者たちで、そのことが原因で彼自身も思いがけないトラブルに巻き込まれていくのだった…
亡くなった母親の遺産相続をする事となった失職中の男性が、誘拐ビジネスを生業とする悪党どもと関わった事から自分自身もトラブルに巻き込まれていくという、クライムサスペンス映画。
「キリング・ファミリー 殺し合う一家」なんてタイトルからして、てっきり『ごく普通の家族が思いがかないトラブルで互いに殺しあう事となる』みたいなノリのサスペンスなのかと思いきや、実際には全然そんなノリじゃなくて『『うさん臭い主人公』が、母親を殺した男の『うさん臭い代理人』と知り合った事から、うさん臭い雰囲気のままキナ臭い事件に巻き込まれていく』という感じの、なんともドロドロとした犯罪サスペンスといった感じのお話です。
ノリとしては、どちらかというと雰囲気映画的なテイストのある犯罪ものといった感じの展開で、主人公がトラブルに巻き込まれる『意外性』とかサスペンス要素は殆ど無くて、むしろならず者達が主体の裏社会に生きるギャングめいた連中の日常が淡々と描かれているお話という感じ。
それに巻き込まれる主人公も最初からひと癖ありそうなキャラクターで、『いや、こいつら絶対に厄介ごとを起こすだろ?』って感じの連中が予想通りに厄介ごとに巻き込まれて行くという、なんというか予定調和的な犯罪サスペンスもの的な展開といった印象です。
そういった内容のため、サスペンスといっても緊張感あふれるような内容という訳ではなく、アメリカ大陸南部のスラム街の裏社会とかの様子が淡々と描かれるという人間ドラマがメインといった感じの印象。
裏社会の犯罪に手を染めた男たちの淡々とした日常が描かれるのはなかなか胸くそ悪くも興味深いところではあり、そういったテイストの雰囲気映画としては良い味を出しているのですが、全体的に淡々としすぎて正直言って中盤あたりはちょっと退屈です。
また終盤まで主人公の存在感が無さ過ぎで、ラストも妙にアッサリしてるので、そういうドライなテイストの犯罪映画があまり好きでなければ、ちょっと物足りなさを感じるかも?
あと、『殺し合う一家』なんてタイトルが付いてる割には一家が全く殺しあわない…というか、そもそも作中に一家らしい一家が登場しない(主人公と腹違いの弟ぐらい?)んですけど、このタイトルを付けた人が何を思って邦題を決定したのかいちど問い詰めてみたいですよ…
総評としましては、全体的にジトっとしたテイストの『雰囲気映画的なクライムサスペンス映画』って感じの作品です。
そういう方向性の独特のテイストが気に入ればそれなりに楽しめる作品だと思いますが、個人的には全体的に淡々としすぎててちょっと物足りない内容だったかなぁ?
南米の底辺的な裏社会とかの様子が見てみたいというのであれば、まあまあ観れる内容の一本だと思いますので、気になるならばチェックしてみても良いかもしれません。