NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「サウスバウンド」(60点/オカルト・オムニバス)

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■■■「サウスバウンド」■■■
(60点/オカルト・オムニバス)

 砂漠にある田舎町の街道を舞台に、その街道で起こる、謎の怪物、カルト集団、幽霊病院といった様々な奇妙な物語が、最終的に一つのストーリーとして繋がっていく…という、オムニバス形式のオカルトホラー映画。

 いわゆる連作のオカルトストーリーを一本にまとめたオムニバス形式のお話なのですが、オムニバスといいつつもストーリー自体は一本のお話として繋がっているという、なかなか面白い構成の作品です。

 それぞれのエピソードを簡単に書くと以下のようなお話。

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 エヴァ達の3人のジャズバンドのメンバーは、ある日、田舎道をライブに向かう最中に砂漠の真ん中でタイヤがパンクしてしまう。
 途方に暮れているところを老夫婦に救われた彼らは、老夫婦の家へと招待されるが、その家族の様子にどこか異様なものを感じとり…


               *

 深夜の田舎道をドライブするルーカスは、道に飛び出してきたひとりの女性を誤って車ではねてしまう。
 彼は電話での救急隊員の指示に従って彼女を最寄りの病院へと運ぶが、何故か病院には誰もおらず、電話先の医師の指示によって彼自身が救命処置を行う事となってしまい…


               *

 13年前に行方不明になった妹のジェニーの行方を追うダニーは、妹が居ると思われるとある田舎町のコミュニティへとたどり着く。
 ショットガンを手にコミュニティを襲撃し、なんとか妹を取り返そうとするダニーだったが…


               *

 田舎町へ両親と共に3人で訪れた娘のジェムは、その日の深夜に覆面を被った謎の男たちの襲撃を受けるが、実はその男たちは彼女の両親の過去に関わりがある人物で…

               *

 といった感じで、メインは4本(5本?)のストーリーで構成されている印象。

 それぞれが同じ街道(というか砂漠の田舎町)を舞台にしており、時系列を別にして微妙につながっているという感じの作りで、なかなか凝った構成になっていて面白いです。

 各々のエピソードが、モンスターやらカルト集団やら幽霊やらとバリエーションに富んでいる感じですが、最終的に『超自然的な現象の起こる場所』へと収束していき、その場所に関わる謎へと繋がっていくといった感じの展開ですね。

 各々のストーリーやテイストも非常に良い感じで、アメリカ南部の田舎町のうさん臭さやら、カルト集団の異様な雰囲気やらが良い味を出しています。

 最初に派手な怪物を登場させつつ、個々の作品に入っていくという謎の提示とかの作品のフックの仕方も上手いですし、キャラの立て方とか良く出来ており総じて良くまとまっている印象。

 本作に加わった監督たちの他の作品をチェックしてみたところ、かなり残念な感じの作品が多いので、本作を誰が取りまとめたのか分からないですが取りまとめた人はなかなか良い仕事をしているのではないかと…(もしくは全員が短編の方が得意なタイプなのか…)

 ただ雰囲気やらテイストは良いのですが、オムニバスのストーリーの殆どが基本的に投げっぱなしな感じの構成になっているのは、ちょっと気になるところかなぁ?
 (幽霊病院とかみたいな、世界観が繋がってるんだか繋がってないんだか良く分からないエピソードもあるし…)

 ラストのオチも、分かったような分からないようなまとめ方ですし、人によってはモヤモヤしてしまっていま一つ楽しめない部分ではあるかも?

 また、特撮とか映像表現もいかにも低予算らしくやや古臭い感じですし、今の時代の作品として見るとちょっと物足りなさを感じる人も多いかもしれませんね。


 総評としましては、低予算ながらも『なかなか良い雰囲気のオムニバスものオカルトホラー映画』って感じの作品です。

 ノリ的にもちょっと古臭いテイストなので、90年代ぐらいのインディーズ系の短編ホラーとかが好きな人には結構楽しめる作品ではないかと…

 個人的には『B級ホラーらしさ』が感じられるオムニバス作品という事で、予想以上に楽しめた一本という感じだったので、そういう作品を求めているならばオススメです。