■■■「ドント・ハングアップ」■■■
(55点/サスペンス)
ロイ、モーズリー、サム、ブレイディらの4人の若者たちは、他人にイタズラ電話をかけて、その様子を実況しながらSNSにアップするという、悪質な遊びにハマっていた。
ある日、モーズリーとブレイディの2人は、いつものように見知らぬ相手にイタズラ電話をかけていたところ、電話を受けた男性から彼らの行動を諌めるような説教を受け、しらけてしまい電話を切ってしまう。
しかしその直後に、説教をした謎の男性から彼らの元に折り返しの電話がかかってきて、更にはその男は何故か彼らの住所や素性までも知っており、彼らに『今までやってきた事の報いを受けさせる』という不気味な脅迫を受けるが…
『イタズラ電話をしてその様子を実況しながらSNSにアップする』という悪趣味なイタズラにハマる若者たちが、電話を受けた謎の相手から逆に命を狙われるという、シチュエーションスリラー風味のサスペンスホラー映画。
タイトルに『ドント』と入ってるだけで、何故か「ドント・ブリーズ」っぽいパッケージになっていますが、実際の内容の方は1ミリも関連性も類似点も無いタイプのサスペンススリラーですね。
お話としては、『イタズラ電話の様子を実況しながらSNSにアップするという遊びにハマっていた若者たちが、電話を受けた謎の相手から『今までの報いを受けさせる』という謎の脅迫を受けるんだけど、最初は悪質なイタズラかと思いきや仲間の一人が既に男に捕らえられている事が判明し…』といった感じの展開。
主人公たちは、人質を取られて家の中から出る事が出来すに、犯人と映像や音声でやりとりしながらお話が進んでいくという構成で、いわゆる閉鎖環境型のシュチュエーションスリラーの亜流といった内容の作品ですね。
主人公が他人に迷惑をかけて、その様子をSNSに投稿して楽しむというアホでムカツク若者たちという設定で、そのアホな連中が謎の犯人によって徐々に追い詰められていくという展開はなかなかに痛快。
また舞台に殆ど変化のないシチュエーションスリラーながらも、割と矢継ぎ早に犯人からの要求やら事件やらが退屈せずに最後まで観られるのも、なかなか良い感じではあります。
あと、犯人の動機や謎解きも意外とキチンとしており、この手の作品の割にはシッカリとしたオチが付くような構成になっているため、観終わった後にあまりモヤモヤした気分にならないのも良い部分だと思います。
ただテンポ良くお話が進むのは良いのですが、全体的に犯人が手ぬるくて緊張感が薄いのは残念なところ。
主人公たちの周辺の人間が人質に取られた状態でお話が展開していくのですが、主人公たちに直接の危害が及ぶような要素があまり無いせいで、危機感が弱くていま一つ盛り上がりに欠けます。
また、主人公たちが人質のせいで反抗できないような状態で、特に逆転の手立てとかも無くて一方的に脅迫され続けている感じなので、お話に逆転的な要素が無くてちょっと面白みに欠けるのも残念なところです。
もうちょっと主人公たちと犯人との間で、なんらかの駆け引きみたいなのがあった方が良かったんじゃないかなぁ…
謎解きに関しても、ラストの直前まで犯人の動機や目的がハッキリしないため、中盤辺りがちょっとモヤモヤした気持ちになってしまうので、もうちょっと分かりやすい伏線とかがあっても良かったかも?
あと犯人が主人公の仲間を人質に取るのはともかく、特に関係のない主人公の両親とかまで事件に巻き込まれるのは微妙にスッキリしない要素だと思うので、普通に犯人と主人公とその周辺の若者たちだけでお話を完結させて欲しかった気もしますよ。
総評としましては、若干の不満はあるものの『普通に楽しめるレベルのシチュエーションスリラー映画』といった感じの作品ですね。
ちょっと物足りない部分や退屈な部分もあるものの、総じて悪くない出来ではあると思いますので、そういう系統の作品が好きであればまあまあ楽しめる内容だと言えるでしょう。
強く推すほどのものでも無いですが、気になるならばチェックしておいても良い感じの一本かもしれませんよ。