NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「新クライモリ デッド・フィーバー」(6点/サスペンス)

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■■■「新クライモリ デッド・フィーバー」■■■
(6点/サスペンス)

 女子大生のルーシーは、最近バーで知り合ったトムと一緒にアイルランドで開催される音楽フェスに参加するために、人里離れた森の奥のホテルに泊まる事となる。

 森のあちこちに立てられた看板に従ってホテルを目指していた彼らだったが、いくら看板の指示に従って進んでもホテルにはたどり着かずに、同じ場所を堂々巡りしている事に気づく。

 やがて日が暮れて周りも暗くなってしまった事からひとまず森から脱出しようとした彼らだったが、休憩中に何者かに監視されていたり、彼らの持っていたはずの衣類が道路にばらまかれていたりといった異常な事態に遭遇。

 更には白いマスクを被った謎の男の襲撃を受けた事から、その場から逃げようと車を走らせていたところ、突然道に飛び出してきた男性を轢いてしまうが、その男で轢いた男から『森の中にいる何者かに追われているから助けて欲しい』と懇願され…



 田舎道の森の中で道に迷ってしまった男女が、正体不明の何者かによって執拗に命を狙われるという、サスペンスホラー映画。

 タイトルに「クライモリ」とか付いててパッケージもそれっぽい印象ですが、実際の中身の方は「クライモリ」とは全く関係のないお話です。

 というか原題が「WRONG TURN」じゃなくて「IN FEAR」ってタイトルなうえに、制作国もイギリス製な時点で気づけよ、俺…って話なのですが、久々に良く考えず確かめもせずに騙されて借りてしまいましたよ。
 (「クライモリ」のシリーズって気付かないうちにマメに新作が作られてる感じだったので、普通にまた新作が出たのかと思ったんです…)

 ちなみに「クライモリ」のシリーズではないので、ミュータントの食人一家も登場しなければ、パッケージに描かれた斧を持った大男も1ミクロンも登場しません。
 いや、『パッケージ詐欺』も良いところ…っていうか、この大男は誰なんだよ!?

 しかし、なんちゃって続編のタイトルを付けるにしても、全く関連が無い…どころか、そもそもゴア系ホラーですらない単なるサスペンス映画というジャンルすら違う作品に「クライモリ」のタイトルを冠するのはいかがなものかと思いますよ。
 (まあ『森の中で道を間違える』という部分に共通点が無くはないけど…)

 とまあタイトルに関するツッコミはさておいて、それでも映画の中身の方が面白ければ良いのですが、肝心の内容の方も酷い有様なのが困りもの。

 お話としては、『とある男女が森の中で道に迷って堂々巡りしている最中に、何者かの襲撃をうけ恐怖に囚われていたところ、1人の男を車で轢いてしまい…』という感じのお話。

 …と、これだけ書くとサスペンスとしては別にそんなにおかしい感じでも無いのですが、問題なのはこの1行程度の文章が既に映画の7割ぐらいのストーリーを語ってしまっているって事なんですよ。

 とにかく序盤から最初の事件が起こるまでの展開がダラダラしすぎで、若い男女が『どうでも良い事をダベりながら森の中で道に迷っているだけ』のシーンを延々と見せられるのが、恐ろしいほど退屈です。

 主役の2人のキャラもそこまで魅力的でもなく、むしろ男の方は自己中心的でエロイ事だけ考えてる低能みたいなキャラなので、中途半端にキャラを掘り下げられてもイラつくだけなのが困りもの。

 森に迷いはじめた直後あたりのシーンは、そこそこ不気味な雰囲気も出ていて良い感じなのですが、それが楽しめるのも最初の10分程度で後は変化が無さ過ぎてまるで苦行のようです。

 お話が動き出してからの展開は、そこまでのシーンよりはマシにはなるものの、そっちはそっちでツッコミどころが満載。

 本作をネタバレされてもさして困る人が居るとも思えないので、ぶっちゃけてネタバレしてしまうと、途中で主人公たちが轢いた男が実は殺人鬼だったという設定なのですが…

 この男はどうやら単独犯っぽい雰囲気なのですが、森の中で仮面をつけて襲ってきた男=轢かれた男だとしたら『どうやって徒歩で先回りして車に轢かれたんだよ…』とか、途中で主人公たちに森に置き去りにされた後で車で追いかけてきたりするのですが、『その車は今までどこに止めてあったんだよ、放置される事も織り込み済みかよ?』とか色々と設定に無理がありすぎです。

 そもそも殺人鬼が主人公たちを狙う動機やポリシーも良く分からないですし、この殺人鬼の方も終始なにがやりたいのか判然せず(まあ、単に『キチ●イだから主人公たちを狙うんだ』と言われたら、それで納得するしか無いんですけど…)、殺人鬼としてもキャラに個性が感じられないため、とにかく魅力が薄いんですよね。

 ラストも結局なにが言いたいのか良く分からないような投げっぱなしエンドですし、最初から最後まで徹頭徹尾ツマんない映画でしたよ…

 ただ唯一、途中で出てきた『主人公たちが目指していたホテル』のシーンは、ちょっと不気味で迫力があって良かったかなぁ?


 総評としましては、ビックリするほどに退屈で『ツマんないとしか言いようが無いような冗長なサスペンス映画』という感じの作品です。

 世の中にはコレと同じ程度ツマんなくてももっと笑えるような作品も多いので、コレに時間を割くぐらいなら『笑えるクソ映画』でも観ていた方がマシです。(マーク・ポロニア監督とかがオススメですよ。)

 自分のように「クライモリ」シリーズの新作と勘違いして借りた場合はご愁傷様としか言いようが無いですが、そうでなければ敢えて本作を観るような必然性は全くないタイトルだと思いますので、普通にスルーしてしまって問題の無い一本だと思いますよ。