■■■「バーニー・トムソンの殺人日記」■■■
(60点/サスペンス)
グラスゴーの床屋で働くうだつの上がらない理髪師のバーニー・トムソンは、冴えないながらも平穏な暮らしを送っていたが、ある日、上司から解雇を言い渡されて言い争ううちに事故で上司を殺してしまう。
混乱した彼は死体を隠蔽しようと自宅に持ち帰るが、彼の母親は死体を事もなさげに分断して冷蔵庫に隠してしまう。
母親の態度に驚きを感じるバーニーだったが、冷蔵庫の中に隠された死体が彼の持ち帰ったものだけでなく複数の遺体が隠されている事に気づいた彼は、母親こそが世間を騒がせている連続バラバラ殺人事件の犯人ではないかと疑いを抱くようになるが…
冴えない理容師の男が上司を誤って殺害してしまった事から思いがけない事件に巻き込まれていくという、コメディ風味のサスペンススリラー映画。
「トレインスポッティング」のロバート・カーライルが初監督&主演を行った作品で、なかなかにケレン味とブラックユーモアの要素の強いサスペンス映画となっています。
…というか、むしろ『コメディのオマケにサスペンス要素が入ってる』って感じの作品かも?
お話としては、『とある冴えない理容師が上司との言い争いの末に事故で殺害しちゃうんだけど、死体を隠そうと母親に相談したところ実は母親がとんでもないシリアルキラーという事が判明して…』みたいな感じのストーリー。
『平穏な生活を送っていた主人公が、グダグダしてる間になし崩し的に連続殺人事件に関わる事になっていく』という感じの展開で、気の弱い主人公が個性の強すぎる母親やら事件を追うキャラの濃すぎる刑事やらに振り回されているうちに、どんどん引き返せない深みにハマっていくというコメディ的なテイストの非常に強い作品ですね。
逆にサスペンス要素とかはかなり弱めで、特に謎解き要素とかどんでん返し的な要素も無く緊張感もあまり無いので、サスペンスとして観るといま一つ盛り上がらない内容という印象。
ただ、コメディとして観ると登場人物のキャラクターとかは良く立っており、特に気が弱くてウソをつけない性格の主人公が、追い詰められるごとにどんどんヘマをやらかしてどんどんドツボにハマっていく様子は、なかなか面白いです。
他に、イギリスっぽいブラックジョークなんかもふんだんに散りばめられており、部分部分ではなかなか笑えるネタも多くて『笑える』という意味では思ったよりも楽しめた印象。
ただ、コメディ要素を強く意識しすぎている部分が多くて、サスペンスの割には『必要以上にキャラを濃くしすぎかなぁ…』と感じる部分が多かったのは残念なところ。
特に主人公を追う男女の2人の刑事やら主人公の友人やらは、キャラが濃すぎてちょっと不快なレベルだったので、あそこまで濃くなくても良かったんじゃないかなぁ…
あとギャグの要素に関しても狙いすぎててちょっと鼻に付く部分が多く感じられたので、全体的にちょっとクドすぎる印象は受けました。
ストーリーも途中まではそこそこサスペンスとして観れるような内容だったのに、終盤からの展開は唐突すぎて『そんなアホな…』としか言いようが無いようなグテグテっぷりで、ちょっとノリに付いていけませんでしたよ…
個人的には、全体的にもうちょっとコメディ要素を薄くしてサスペンス要素を強くした方が、お話的にも説得力やカタルシスがあって良かった気がします。
総評としましては、ブラックユーモア要素を主体として観るならば『なかなか楽しめるコメディ風サスペンス映画』という感じの作品ですね。
ノリ的に物凄くケレン味の強い作品なので、英国風のブラックユーモアとかのネタが好きな人であればそれなりにオススメ出来る一本といったところでしょう。
あとロバート・カーライルが好きな人であれば、ネタ映画としても観ておく価値があると思いますので、気になるならばチェックしておいても良いかもしれません。