■■■「逆殺館」■■■
(55点/オカルト)
火事で幼い頃に両親を亡くし孤児院で育ったヘーゼルは、無法者の仲間たちと共に一獲千金を狙って、ダイヤモンド取引の元締めであるハドソン家のひとり娘の誘拐を画策する。
ハドソン家に忍び込んだ彼らは首尾よく娘のキャサリンを誘拐する事に成功。
身代金として300カラット相当のダイヤを奪おうとするが、ハドソン家に連絡しても誰も電話に出ないという奇妙な事態に遭遇。
不審に感じた彼らが再びハドソン家に侵入したところ、そこで何者かに惨殺された両親や神父たちの死体を発見する。
そして、事件の原因を探るためにハドソン家にあったハンディカメラに収められていた映像を再生した彼らは、娘のキャサリンが悪魔に取り憑かれており悪魔祓いを行おうとしていた事を知るが…
誘拐犯の一味がダイヤ取引の元締めから娘を誘拐して身代金をせしめようとしたところ、誘拐した娘が実は悪魔に取り憑かれており…という、南アフリカ製のちょっと変わったオカルトホラー映画。
パッケージによるそ「ドント・ブリーズ」や「サプライズ」に続く『返り討ち系ホラー映画』という事ですが、いやいやそんなジャンル聞いたことないわ…というか君たち勝手に新しいジャンル作るの好きよねぇ。(笑)
でも実際の中身の方は「ドント・ブリーズ」や「サプライズ」とは特に似ている部分は全く無い作品なので、そういう系列の作品が好きだからと言って特に意識する必要はありません。
(一応、主演女優が「サプライズ」のヒロインの人という共通点はありますけど…)
ただ『返り討ち系ホラー映画』というジャンルの是非はさておくとして、本作は他には無い感じのノリのなかなか個性的なホラー映画ではあると思います。
お話としては、『誘拐犯一味がダイヤ取引の元締めの娘を誘拐して、その家族から身代金をせしめようとするんだけど、実は誘拐した娘は悪魔に取り憑かれており…というか「悪魔の化身」のような状態で逆に大ピンチに陥ってしまい…』みたいな感じのストーリー。
序盤はいわゆるクライムサスペンス映画かと思わせておいて『実はオカルトホラーでした』という意外性のある展開も面白いですし、サスペンス的な緊張感を保ったままオカルトの謎解きへとお話が進んでいくため、全体的に非常に展開が早くて退屈する暇もないような濃厚さなのは良い感じです。
特に、サスペンスからオカルト映画へのお話の変遷の上手さやら、世界観やらオカルト設定やら、登場人物のキャラクターの背景の説明やらの様々な要素が非常に無駄なく組み込まれているのはなかなか感心させられるレベルで、非常に良くプロットが練られているなぁ…という印象。
またそれだけ要素を詰めこんでいながら、詰め込み過ぎで煩雑な感じにもなっていないのも上手いです。
ただ作品のアイデアやらプロットやらは面白いと思うのですが、本作が『純粋にオカルト映画として面白いか』と言われるとちょっと微妙というのが正直なところなんですよね。
なにが微妙かというと『オカルト描写がいま一つ怖くない』んですよ…
中盤以降のオカルト部分に突入した際に、悪魔の力によって主人公たちの元に『自分のトラウマになった肉親の姿が悪霊として現れる』みたいな展開になるのですが、この描写が最初から最後までどうにもワンパターンで、最初は怖いのですがぶっちゃけ途中で飽きてしまいます。
また悪魔との闘いのシーンも、CGやらSFXやらを使って頑張って作っている雰囲気は認めるのですが、いかんせん予算が足りてない感じで全体的にちょっと安っぽさが目についてしまうのは残念なところ。
ラストもちょっとアッサリしすぎな感じだったので、もうひと捻りぐらい何かあっても良かったんじゃないかなぁ?
総評としましては、なかなか面白いアイデアが詰め込まれた『ちょっと変化球なオカルトホラー映画』って感じの作品です。
やや安っぽくて粗削りな部分もあるものの、他には無い感じのノリの作品という印象の映画でした。
もし予告とかを観て気になっているのであれば、とりあえずチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。