NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「グレムリン2017 ~異種誕生~」(55点/モンスター)

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■■■「グレムリン2017 ~異種誕生~」■■■
(55点/モンスター)

 建築家のアダムは、ある日、母親が叔父のアダムから受け取ったという奇妙なアンティークの箱を渡される。

 しかしその日の夜に、母親が何者かによって刺殺されるという事件が発生。

 幼い息子から『箱から小さな怪物が現れてお婆ちゃんを殺した』という奇妙な話を聞かされたものの、子供の妄想と考えて信じていなかった彼だったが、翌日に実際に箱から現れた怪物が娘の恋人を殺害する現場を目撃する。

 箱の危険性を察知した彼は箱を遠く離れた湖に捨ててくるが、何事も無かったかのように箱は家に戻ってきており、工具で破壊しようとしても全く傷ひとつ付かず、箱の上のタイマーのカウントダウンが進む度に一人、また一人と周りの人間が殺害されていってしまう。

 途方に暮れた彼が箱の元の持ち主のアダムを問い詰めたところ、この箱は恐るべき呪いの込められた箱で、呪いから逃れるには『箱を誰か別の愛する人に渡す必要がある』と知らされるが…



 一定時間おきに中から怪物が出現する『呪いの箱』を受け取った男性が、家族を守るためになんとかして呪いから逃れようとする…という、オカルト風味のモンスターホラー映画。

 タイトルが「グレムリン」で『異種誕生』なんて邦題が付いていますが、当然ながら本家とは何の関係も無く、登場する怪物が『グレムリン』というだけの単なるモンスター(というかオカルト)映画です。

 作品の系列としては、いわゆる超低予算系のTV映画という感じの内容なのですが、これが思った以上にケレン味が効いてて意外と楽しめた作品でしたよ。

 お話としては、『とある男性の母親が叔父から奇妙な『箱』を渡されるんだけど、この箱が実は怪物の出現する『呪いの箱』で、怪物は彼の家族や周辺の人間を出現の度に一人づづ殺害していき…』みたいな感じの内容。

 この『呪いの箱』の設定がなかなか良く練られており、過去に魔術師が他の一族を暗殺するために作り出したもので、『タイマーが進む度に怪物が呪いの対象者の周囲の人間を一人づつ殺害していき、最終的には家族を皆殺しにする』という設定は、ちょっとゲーム的で面白いですね。

 呪いから逃れる方法が『自分の愛する相手に箱を渡すこと』というのも嫌らしくて良い感じ。

 また本作のケレン味の効いている部分としては、実は『箱』を貰う以前からして既に主人公の家族の関係がボロボロで、既に家庭崩壊目前だという事。

 お父さん(主人公)は現役バリバリで他の女と浮気中だし、学生の娘は恋人の赤ちゃんを身ごもってるし、以前に長男が何者かに誘拐し殺害された過去があって、母親が殺害された際に『怪物の出現以前に警察からマークされる』という不審っぷり。

 更に加えて、主人公は『箱を愛する相手に渡せば呪いから逃れられる』と知って浮気相手に箱を押し付けようとするし、娘の恋人が怪物に殺害された際には『警察から疑われるのを恐れて死体を地下室に隠してしまう』というとんでもないクズっぷり。

 ぶっちゃけ、怪物騒動以前にこの家族の動向から目が離せません!!(笑)

 ただ、そういったドロドロしたドラマ部分は面白いのですがモンスターホラーとしての『怪物』の要素はいま一つなのが残念なところ。

 怪物は箱から出現するのですが、箱に収まるサイズだけあって大きな虫程度のサイズしかないんですよ。

 一応は、『足が刃物のようになっていてそれで人間を切り刻んで殺す』という設定なのですが、『そんな小さい怪物に人間が簡単に殺されるのか?』って感じもありますし、サイズ感的にインパクトの弱い部分もあってどうにも迫力不足。

 どうせ魔法生物みたいな設定なんだから、もっと物理的な箱のサイズを無視した怪物でも良かった気はします。

 被害者の殺害方法もそこまで面白味がないため、怪物がどうにもインパクト不足でインパクト抜群の『主人公の家庭環境』に比べると面白味に欠けるんですよね。

 終盤の展開とかは予想外に派手で面白かったのですが、流石にもうちょっと怪物の扱いに重点が置かれていても良かった良かったんじゃないかなぁ?

 あと、ラストの『そんなんで良いのか?』って唐突なオチは、好みは分かれそうですが個人的には割と好きでしたよ。


 総評としましては、超低予算でパッとしない作品なんだけど『思ったよりもケレン味が効いてて意外と楽しめたオカルト系モンスター映画』って感じの作品ですね。

 いかんせんショボい映画なので、他人にオススメできるかと言われると微妙なところですが、個人的には結構好きな感じの内容でしたよ。

 気になっているのであればチェックしておいて損は無い一本だと思いますが、なんとなくそのうちNetflix辺りのネット配信とかに乗っかりそうな気がするので、その辺で観たら『予想以上に面白くてちょっと得した気分になれる映画』かもしれません。