NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ハードコア」(50点/サスペンス)

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■■■「ハードコア」■■■
(50点/サスペンス)

 ある日、記憶を無くした状態で研究所のような場所で目を覚ましたヘンリーは、妻と名乗るエイカンという女性によって自分が大けがをしている事を知らされ、機械の腕と足を取り付けるサイボーグ手術を行われる事となる。

 しかし手足の取り付けが完了し、次に人口声帯の取り付け手術を行おうとしたはじめたところで、エイカンと名乗る男が率いる傭兵軍団が研究所を襲撃。

 彼は傭兵たちと戦ってなんとか襲撃を逃れるも、妻のエステルは傭兵たちによって囚われてしまう。

 彼は混乱しつつも自分の身を守り妻を取り返すために、謎の傭兵軍団との戦う事となっていくのだった…



 研究所で目を覚ました記憶喪失の男が、敵にさらわれた妻と名乗る女性を取り戻すために謎の傭兵軍団との戦いに身を投じていくという、ロシア製のサスペンス風アクション映画。

 映画の最初から最後まで『一人称視点のシューティングゲームFPS)の画面風の演出にこだわったアクション映画』という事で、劇場公開時にゲーマーの間で話題となった作品ですね。

 確かに今までも映画版のDOOMとかみたいに、部分的にFPS的な画面演出を使った作品はありましたが、『最初から最後までFPS風の画面の映画』というのは、なかなかに斬新な演出という印象。

 しかし、演出が斬新でも映画そのものが面白いかというとそれは別の話で…
 なんというか良い意味でも悪い意味でも『ゲームっぽい映画』という感じの作品でしたよ。

 まず、まるっきりFPSの導入シーン』を意識したような冒頭の演出やら、いかにもその手のゲームにありそうな『記憶喪失の主人公が事件に巻き込まれて行く』という展開は、普段からFPSとかをやってる人間ならば『ああ、そうそうFPSってだいたいこんな感じだよな!!』って雰囲気でニヤリとさせられてしまう事うけあいです。

 また、物陰にカバーアクションを行いながら銃撃戦を行うシーンやら、複数の方向から攻めてくる敵をスナイパーライフルを用いて迎撃するシーンなんか、『まさにFPSのステージ構成』って感じの画面の雰囲気で映像を観ているだけでも面白いです。

 ただ狙ってなのかそうじゃないのか分からないですが、演出だけじゃ無くてストーリーまでもが妙にB級のゲームっぽい展開なのは困りもの。

 お話が全体的に矢鱈と急展開な場面が多いうえに、どうにもご都合主義っぽくて『なんじゃそりゃ?』みたいなツッコミを入れたくなるような展開が矢鱈と多い。

 確かにゲームのシナリオって、ステージ構成とかの都合もあってそういう強引なノリの展開が多いのですが、そんな部分まで忠実に再現する必要は無かっただろうと…
 (まあ単に脚本が稚拙なだけかもしれませんが…)

 実際に自分でプレイしているゲームでそういう展開なら悪くないと思うのですが、映画として第三者視点(まあ映像は主観視点だけど)からそういうシナリオを見せられると、どうにも支離滅裂で置いてきぼり感が酷かったです。
 (なんかFPSっぽいテイストを出すために、他の部分がおざなりになっている印象。)

 あと映像に関しては、銃撃戦のシーンは『いかにもFPS』って感じで観ていて非常に楽しくて、特に終盤の敵のアジトに乗り込んでいくシーンとかはゲームの最終ステージみたいな感じで無茶苦茶盛り上がるのですが…

 銃撃戦以外の『普通のアクションシーン』や『格闘シーン』までも主観でやられると、ぶっちゃけ『何をやってるのか良く分からなくていま一つ盛り上がらない』のは困りものでしたよ。

 というか、監督も実際にFPSをやった事があれば『FPSの格闘シーンは迫力が無くて盛り上がらない』ってのは分かってた筈でしょうに…どうしてアクションシーンや格闘シーンをふんだんに取り入れてしまったのかと、小一時間問い詰めたいですよ。


 総評としましては、映像や方向性としては面白いんだけど『映画として面白いかと言われると微妙としか言いようが無いようなB級アクション映画』って感じの作品ですね。

 FPS的な演出を用いた作品』という着眼点は面白いですし、一部のシーンも迫力があって良い感じですので、FPSが好きで気になっているのであればチェックしておいても損は無い映画という感じ…

 逆にそういうのに興味が無ければ、『主観視点のせいで画面が見辛くてストーリーが分かりにくい映画』という感じになってしまいそうですので、そこまでオススメできない作品という感じかもしれません。