■■■「ドルフ・ラングレン ゾンビ・ハンター」■■■
(55点/サスペンス)
ミシシッピのチコリー・クリークという田舎町で、動機も関連性も不明の猟奇的な連続殺人事件が発生。
地元出身のFBIの捜査官であるピアスは事件の捜査を開始するが、そんな折に事件の原因を知るという、自称『悪霊ハンター』のウッドリーと名乗る男が現れる。
男は、この事件は『自分を殺した相手に次々と憑依して無差別に殺人を繰り返す悪霊の仕業だ』と説明するも、警察は最初は彼の話を妄言だと考え相手せずに不審人物として彼を拘束してしまう。
しかし、彼の予告通りに次々と悪霊による凶行が発生。
ピアス捜査官は彼に協力して、なんとかして悪霊を退治しようとするが…
『自分を殺した相手に取り憑いて次々と無差別殺人を繰り返し続ける』という恐るべき悪霊と、その悪霊を追う悪霊ハンターの男の対決を描いた、アクション風味のオカルトホラー映画。
ドルフ・ラングレン主演のオカルトホラー映画で、タイトルに「ゾンビ・ハンター」なんて付いていますが、本編には全くゾンビは登場しないためどっちかというと『悪霊ハンター』みたいな感じのお話です。
というか本編内で自分でも『悪霊ハンター』を名乗ってるのに、なんでこんな紛らわしいタイトルを付けてしまったのか…
お話としては『ミシシッピの田舎町に悪霊による連続殺人事件が発生、かつてその悪霊を封じ込めた悪霊ハンターがなんとかして悪霊を再び退治しようとする』という感じのお話。
この本作の『悪霊』というのがなかなか厄介な存在で、『人間に取り憑いて驚異的な身体能力で無差別に他の人間を殺しまくるんだけど、取り憑かれている人間が殺された場合は即座に自分を殺した人間に取り憑いて更に殺害を続ける』というゲームのチートキャラみたいな特性を持っています。
お話の序盤ではこの特性がそこまで活かされておらずなんか地味な展開が続くのですが、中盤辺りからのこの特性をいかん事なく発揮しての『激しい銃撃戦で殺されても殺されても、スイッチを切り替えるように次々と宿主を変えて犠牲者を増やしていく』という展開はなかなかスピーディで面白いです。
警官に取り憑こうがババアに取り憑こうが幼女に取り憑こうが、圧倒的な戦闘力で容赦なく人を殺しまくる悪霊の徹底した殺人マシーンっぷりもなかなか良い感じですね。
ただぶっちゃけて言うと『スピーディな銃撃戦とアクションシーン』以外は特にコレといって見どころの無い作品という印象で、お話の展開に捻りがあるような部分も無いですし、キャラの掘り下げも薄くてストーリーとしても殆ど面白味がありません。
ハッキリ言ってしまうと『不死身の悪霊とのバトルがメインの脳筋オカルト映画』みたいなノリなのですが、その割には低予算なのでアクションシーンにそれほどの見応えも無いのは困りもの。
作品としての方向性は分かりやすいのですが、予算不足ゆえのパワー不足感が感じられて全体的にどうにも物足りないんですよね。
オチとかもやけにアッサリしててカタルシスが薄いですし、イキオイの感じられる部分のみ見れば悪くは無いのですが、アクション重視ならアクション重視でもうちょっと何か見どころが欲しかったですよ。
あと、せっかくドルフ・ラングレンが出てる割には格闘シーンが殆ど無かったのも不満だったかなぁ?
どうせならその圧倒的な筋肉で、有無を言わさずに悪霊を叩きのめしていただきたかったところではありますよ…
総評としましては、低予算な部分に目をつぶれば『そこそこ観れるレベルのアクション風味のオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。
ドルフ・ラングレンが好きで、あまり細かいことを気にせずにバトルものっぽいノリのオカルト映画が楽しみたいというのであれば、まあまあチェックしてみても損は無い感じでしょう。
そこそこバカバカしくイキオイがある作品でネタ映画としても楽しめる内容なので、そういう系列の映画を求めているなら割とオススメできる一本かもしれません。