■■■「デッドガール」■■■
(45点/サスペンス)
キレやすい性格のリンカーンは、学校で執拗なイジメにあった事が原因でキレて暴れて不良に重傷を負わせる傷害事件を起こしてしまい、人里離れた砂漠にある更生施設に入れられる事となる。
しかし更生施設でも同じように不良グループに絡まれた彼は、なんとか激昂するのを抑えようとするが、あまりに執拗に絡んでくる不良たちと遂にトラブルを起こしてしまう。
そんなある日、不良グループのリーダーであるウィリーが、自分の首をカミソリで切り裂いた自殺死体として発見される事件が発生。
直前にウィリーともめ事を起こしていたアイザックは、安堵しつつも罪悪感のようなものを感じるが、そんな彼の目の前にモイラと名乗る血まみれの少女の霊が出現。
彼女は『彼が望んだから望みを叶えるためにウィリーを殺してあげた』と告げるが…
更生施設でイジメを受けた少年が、同じような境遇によって自殺した少女の霊に取り憑かれて呪いの連鎖に巻き込まれていくという、スラッシャー風味のオカルトホラー映画。
以前に同じタイトルで『ゾンビの女の子をレイプしてしまう』という、なかなかケレン味の効いたゾンビもの映画がありましたが、それとは全く別の作品で、本作は『少女の悪霊が呪いで不良たちを殺戮する』という感じのお話です。
ストーリーとしては『イジメにキレた事が原因で更生施設に入れられた少年が、同じような境遇で自殺した少女の霊に取り憑かれて、呪いによる殺戮の連鎖に巻き込まれていく』みたいな感じの展開。
不良に矢鱈と絡まれやすい性質の主人公と、その主人公に共感して殺戮を繰り返すサイコパスな幽霊、それに加えて主人公に恋心を抱くヒロインとの三角関係みたいなのが描かれている感じで、オカルトの割には人間ドラマ…というか青春ドラマ的な要素を持った作品ですね。
お話の流れとしては、『イジメられた主人公が激しい怒りを抱くとそれに便乗して悪霊の少女が犠牲者を殺害してしまう』のに対して、主人公がなんとかして殺戮を食い止めようとするといった感じでお話が展開していくのですが…
どうにも、悪霊に殺される連中が基本的に『殺されても何の問題も無いようなクズ野郎』ばかりなので殺戮が繰り返される事に対していま一つ緊張感がなく、主人公もそこまで真剣に悪霊の行動を阻止しようとしているように思えないので、いま一つ盛り上がりに欠ける雰囲気のは残念なところ。
悪霊少女の攻撃方法はなかなか個性的で、『悪霊少女が自傷行為を行うと呪われた犠牲者が同じ場所のダメージを受ける』というビジュアルは、サディスティックでありながらマゾヒズムも両立させてるような攻撃で、見ていてなかなか面白いのは良い感じです。
ただ、悪霊少女があまりにも白昼堂々と出現するうえに『生身の人間にしか見えない』という外見のせいで、襲撃シーンが『単にパンクっぽい恰好をしたメンヘラ少女が自傷行為をしているだけ』にしか見えなくて、あんまりオカルト的な怖さが感じられないのは困りもの。
ストーリーに関しても、悪霊少女の呪いに加えて主人公を巡る青春ドラマ的な要素とか、更には悪霊少女の自殺の理由とかがサスペンス的に詰め込まれているのですが、全体的にやや詰め込み過ぎな感があり、特に悪霊少女に関するサスペンス的な要素とかはちょっと唐突すぎる印象を受けました。
オチに関しても、主人公のキャラの描き込みが薄いせいでいま一つ盛り上がらない感じなので、『もうちょっと描く内容を絞り込んだ方が良かったんじゃないかなぁ…』ってのが正直なところでしたよ。
総評としましては、悪くない部分もあるものの『どうにもいま一歩な印象を受けるオカルトホラー映画』という感じの作品でしたよ。
悪霊の少女とかも可愛いし、ホラーとしてもてビジュアル的には悪くない内容でしたし、描きたい方向性もなんとなく分かったのですが、ちょっと取っ散らかって散漫になってしまった印象を受けたのが惜しいところ。
まあでもそこそこ見るべき要素もあるので、気になっているのであればチェックしてみても損は無い一本ではあると思いますよ。