NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「バイバイマン」(65点/オカルト:結構オススメ)

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■■■「バイバイマン」■■■
(65点/オカルト:結構オススメ)

 アメリカのウィスコンシン州の田舎町に住む大学生のエリオットは、恋人のサーシャ、友人のジョンと共に、3人で古い屋敷を借りてルームシェアで生活を始める事となる。

 そんなある日、ナイトテーブルの中に『考えるな、言うな』という偏執的なメモに隠された「バイバイマン」という言葉を発見するが、その言葉を発見して以来、彼らの周りで不気味な男の幻と共に、奇妙な幻覚や幻聴を伴う異様な事件が起こり始めるようになる。

 自体に異常なものを感じたエリオットは、図書館で「バイバイマン」の事を調べてみたところ、過去にこの言葉を残したと思われるレドモンという記者が、狂気に囚われて8人の男女を殺害した後に自分自身も自殺している事が判明。

 やがて「バイバイマン」は『その名前を知った相手を狂気に導いて命を奪う』という、恐るべき悪魔のような存在だという事を知るが…



 『その名前を知ったものを狂気に導いて命を奪うという、都市伝説的な怪物である「バイバイマン」の恐怖を描いた、オカルトサスペンス映画。

 『名前を呼ぶと現れる怪人』というとなんとなく「キャンディマン」を思い出しますが、本作は「キャンディマン」のように鏡の前で呼び出すような儀式すら必要なく、名前を知っただけで命を奪う呪いにかかってしまうという、物凄くタチの悪い存在です。

 っていうか、某子供向けアニメのバイキ●マンの負け台詞みたいなふざけた名前の割に、性質が凶悪すぎやしませんかね?

 まあそれはさておき、お話としては『とある大学生の3人が入居した古い屋敷で『考えるな、言うな』というメモと共に「バイバイマン」という名前を見つけるんだけど、それ以来、バイバイマンの名前を意識する度に異常な幻覚や妄想に囚われるようになっていき…』という感じの展開。

 「キャンディマン」や「ブラッディ・メアリー」的な、禁忌を冒すことで『呪われた悪霊』を呼び出しちゃうようなお話かと思いきやちょっと方向性が違っていて、「バイバイマン」はアクマで幻覚や幻聴によって不和や不安の種を増幅させるだけで、殺しを犯してしまうのは人間不信や恐怖に囚われた人間自信だという設定は面白いですね。

 他の都市伝説ものに比べると、『悪霊』というよりも『悪魔』のような存在という印象が強いキャラクターになっています。

 ストーリーの流れ的には、「バイバイマン」の秘密を探るという展開がメインの流れなのですが、その中で3人の不和の種が徐々に増幅していく様子やら、各人が不信感や恐怖を募らせていく様子が丁寧に描かれており、これがサスペンスとしてなかなか良く出来ております。

 この描写が『そりゃ、そんな幻覚を見せ続けられたら人間不信にもなるわ』って感じで、お話にムリが無くて割と説得力がある作りになっているのは良い感じ。

 あと映像のデザインとかにしても、主人公の住む古びた屋敷も良い味を出していますし、どことなく寂れた感じの田舎町の雰囲気も70年代風の映画のテイストをかもし出していて、『都市伝説ホラー』としては新しい切り口ながらも、なんとなく懐かしい雰囲気を感じさせる作りになっているのが面白いですね。

 ただ難点を上げるとしたら、お話は面白いんだけど「バイバイマン」自体のキャラクターがいま一つ弱いというところ。

 「バイバイマン」自体にベースとなるような都市伝説が存在しないうえに、バックボーンとなるエピソード的なものも作中で描かれないせいで、どうにも印象が薄いんですよね。

 ビジュアル的にも単なる『ローブを着た怪しい男』でしかないので、いま一つ面白みがありません。

 もうちょっと何らかのバックボーンを描くか、ビジュアル的にインパクトのある方が良かったんじゃないかなぁ…という気がしましたよ。


 総評としましては、不満点もなくはないものの『なかなかに良く出来た都市伝説風味のオカルトサスペンス映画』って感じの作品です。

 他の都市伝説系作品とはちょっとテイストが違うところも面白いので、そういう系列の作品が好きであればチェックしておいても損は無い一本だと言えるでしょう。

 なんか『ふさけたタイトル』っぽくて避けてしまいそうになるかもしれませんが、こんなタイトルの割には普通にオススメできるオカルト映画だと思いますよ。
 (まあ原題からして「THE BYE BYE MAN」だから多少はね…)