■■■「鮫の惑星:海戦記(パシフィック・ウォー)」■■■
(50点/アクション)
地球温暖化による氷河の融解により地表の98%が海に覆われてしまい、サメが世界の支配者と化した近未来。
わずかな生存者たちは海面に村を作り日々を生きながらえていた。
しかし、サメを自在に操る技術を開発したフィエンと名乗る男がその勢力を増大させ、近隣の支配者と化して村々から物資を略奪。
ティモールの暮らすコロトアの村では、差し出す物資が無くなってしまった事から幼馴染のウィローらを人質としてさらわれてしまう。
ティモールは友人のシオンと協力して、フィエンたちを救出するために一緒に戦ってくれる仲間を集めるための旅に出るが、そんな最中、ウィローに秘められていた驚くべき『能力』が発覚し…
地球温暖化で地表の98%が海に覆われた世界で、暴君とサメにおびやかされて暮らす人々が自由を取り戻すために戦う…というアクション映画。
(何度も言うようですが、南極と北極の氷が全て溶けても地表の98%が水没するなんて事は無いですけど…)
同じ世界観の「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」の続編に当たる作品ですが、世界観が共通しているというだけでストーリー的な繋がりはあまりない内容の続編ですね。
相変わらず海洋都市版「マッドマックス」っぽいな世紀末的な世界ですが、今回はサメよりも『無法者たちに虐げられた人々が立ち上がるみたい』な展開で、無法者が武装車の代わりにサメを操って襲ってくるという感じの作品になっています。
そんな感じで、前作よりも世紀末的でヒャッハーなノリが強くなっており、ホントに海上都市版マッドマックス的なテイストが強くなった印象。
更に本作では、『謎の装置でサメを自在に操る悪の暴君』とか『伝説のサメ使いの力を受け継いだ少女』とかが登場して、お前らは「スターウォーズ」的な『鮫の惑星サーガ』でも作るつもりなのかというようなノリになっており、設定の奇天烈っぷりがなかなか笑わせてくれます。
というか現代の数十年後の近未来という設定の筈なのに、サメに支配された世界で『サメ使い』の伝承が遥かに昔から語り継がれていたみたいな扱いになっていたりとか、色々と矛盾しすぎだろ!!(笑)
(いつの時代に、サメを自在に操る『サメ使い』なんて人種が居たんだよ?)
まあ設定のムチャクチャさはさておき、お話としては今回は『暴君にさらわれた村人を救うため、村の若者が一緒に戦う仲間を集めて立ち上がる』みたいな感じの展開で、前作よりもアクション映画の要素が強くなった感じになっております。
集めるメンバーにしても、『素潜りの達人』とか『技術者』とか『爆破のエキスパート』みたいなメンツになってて、いわゆる『7人』シリーズのノリを意識したような内容ですね。
敵役も『科学の力でサメをコントロールする暴君』とか、その手下たちといった感じで、いかにもありがちなアクション映画という印象。
全体的に安っぽい作りではありますがB級アクション映画としてはソツの無い作りで、お話のテンポも良くてあまり退屈しないで観れるのは良い感じですね。
人々が海上都市で半裸で暮らしているのに、悪役のリーダー格のキャラだけは何故かレザーのコートを着ていたりとか、キャラ作りにも余念がありません。(笑)
ただアクション映画としては無難にまとまっているものの、『サメ映画としては物足りない内容』というのが正直なところ。
サメが単に『支配者の道具』みたいな扱いになっているので、サメとしての怖さが全く感じられないうえに、悪党と主人公たちの戦っているシーンが多めなせいでサメ自体の出番は少な目で、ちょっとサメの影が薄い印象。
メインの展開が『悪のサメ使い』と『サメ使いの少女』が戦うという流れだとしても、もっと派手にサメを暴れさせてサメの存在感を見せて欲しかったです。
前作では、この辺のサメの存在感とスペクタクルとのバランスが割と良く出来ていたのになぁ…
またアクション映画としても低予算ゆえに全体的に地味で、いま一つ盛り上がりに欠ける感じなのも残念なところでしたよ。
総評としましては、悪くはないんだけど『どうにも物足りなさの残るB級アクション映画』って感じの作品です。
海上都市とか独特の世界観とかは悪くないのですが、このまま『鮫の惑星』として続けるのであれば、次回作ではもうちょっとサメ要素を濃くして欲しいところ。
とまれ前作を観ている人がシリーズとして観るのであれば、それなりには楽しめる出来だと思うのでチェックしてみても良いんじゃないでしょうか?
逆に前作を観ていない人は、素直に前作の「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」からチェックする事をオススメしますよ。