■■■「鬼畜の森 ゴアマスク・ファーマー」■■■
(35点/スラッシャー)
肝試しに心霊スポットを訪れる事となったパメラらの5人の男女は、20年前に農夫が謎の幻聴にそそのかされて妻と息子と娘を惨殺した後に自殺したという事件の現場である、レッドウッドの森の奥にある廃墟と化した農場を訪れる事となる。
しかし近くでキャンプして翌日に農場を訪れようとしたところ、仲間のうちマークとジェシカの2人が姿を消している事が判明。
不審なものを感じつつも、目的地である農場に行けば何かが分かるかもしれないと考えた彼らは2人で農場へと向かう事となるが、そこには連続殺人の原因となった恐るべき「なにか」が待ち構えていたのだった…
20年前に連続殺人事件のあった廃農場へと訪れた若者たちが、その場所で正体不明の殺人鬼の襲撃を受けるという、スラッシャーホラー映画。
パッケージからして『ごく普通のスラッシャーホラー映画』っぽい感じの雰囲気を漂わせている作品ですが、実際の中身の方も非常にオーソドックスな作りのゴア系スラッシャーホラー映画って感じの作品ですね。
お話としては、『とある若者たちが20年前に一家惨殺事件のあった廃農場に肝試しに行くんだけど、農場には未だに今も謎の殺人鬼が隠れ棲んでおり…』みたいな感じのお話。
ストーリーらしいストーリーは殆ど無いようなタイプの、『キャンプに来た若者たちを不死身の殺人鬼が殺しまくる』というだけの、清々しいまでに分かりやすい感じの内容なのですが…
それでも殺人鬼のキャラクターの背景の説明だけはあって、『かつて父親による惨殺事件のあった農場の一家なんだけど、実は死んだはずの息子の死体が消えており今も農場のそばでは謎の行方不明事件が多発してる』みたいな設定が語られる感じで、一応は殺人鬼のキャラだけはシッカリと立っているのは良い感じ。
ただ、ホントにそれ以外にはストーリーとかが全くありません。
まあゴア系のスラッシャー映画なので、たいそうなストーリーとか無くても殺害シーンさえ盛り上がるように作られていればそれなりに楽しめるのですが、そちらの方もストーリーと同様にイマイチ盛り上がりに欠けるのは困りもの。
全体的にダラダラとした感じの作りという表現がシックリくるような内容で、『なんとなく森の奥に肝試しに来た若者たちが、特に盛り上がりも無いままなんとなく殺人鬼にさらわれて、特に見せ場もないままなんとなく殺される』みたいな感じで、殺害シーンも殺人鬼の登場シーンも多い筈なのにどうにも盛り上がらないという不思議な構成です。
何が盛り上がらないって、全体的にとにかく『緊張感が無い』んですよね…
仲間がさらわれるにしても『目を覚ましたら既にさらわれていた』みたいな感じで、何か全体的にアッサリしすぎ。
殺害シーンも物凄く淡々としており、残虐なシーンになると『カメラのフレーム外で残虐行為が行われる』というイメージ映像だったり、『刺される場所のみがにわかにアップ』になって『いやそれ人形を刺してるだけだよね?』みたいな感じの処理がされていたりと、『80年代のホラーでももうちょっと頑張ってただろ?』みたいな映像表現のオンパレードで全く盛り上がりません。
そんな感じなので緊張感もなく映像的な見せ場も無いような状況のため、殺人鬼は割と頻繁(ひんぱん)に登場して残虐シーンもそこそこ多いという構成の割には、恐ろしく退屈に感じてしまうという困った出来映えで、ぶっちゃけ残虐シーンの途中でうっかり2回ぐらい寝てしまいましたよ。
ただ、主人公の仲間が軒並み殺されてからの、ラストの『主人公と殺人鬼の対決』みたいな流れの部分はそこそこ面白くて、終盤ではスラッシャーホラーとしてそれなりに観れる感じのノリになってくれてるのは、まあまあ良かったかなぁ?
ラストの殺人鬼の倒し方も、なかなか説得力があってカタルシスのある感じなのも良かったです。
あと殺人鬼の雰囲気やら設定やらに、「悪魔のいけにえ」とか「悪魔の棲む家」当たりのオマージュ的なものが感じられたのも、まあまあ良かったかも?
総評としましては、どうにも『退屈な内容で盛り上がりに欠けるスラッシャーホラー映画』って感じの作品ですね。
まあ最近は少ない『正統派のスラッシャーホラー』って感じの作品ですし、三度の飯よりスラッシャーホラー大好きで『どうしてもチェックしておきたい』というのであれば止める程では無いかなぁ?
そうでなければ、普通にスルーしてしまっても問題ないレベルのD級ぐらいの低予算ホラー映画って感じでしたよ。