NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「THAT/ザット」(55点/オカルト)

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■■■「THAT/ザット」■■■
(55点/オカルト)

 親友のニッキを原因不明の突然死で喪ったアリスは、ニッキの恋人のコーディや友人たちとともに悲しみに暮れていたが、そんなある日、死んだはずのニッキからアプリへの招待が届く。

 ニッキが生前に送ったものだと考えた彼らは謎のアプリをインストールしてみたところ、それは自らを『ビー・デビル』と名乗る会話型のAIアプリだった。

 アプリの軽妙な会話に心を癒される彼らだったが、『ビー・デビル』は徐々に彼らをあざ笑うような奇妙な態度を取り始め、それと同時に彼らの周りに不気味な現象が次々と起こるようになっていき…



 インストールした人間の命を奪うという『呪いのアプリ』の恐怖を描いた、オカルトホラー映画。

 なんかパッケージやらタイトルからして「IT/イット ‘それ’が見えたら、終わり。」のパクリっぽい感じの作品で、ピエロの描かれたジャケットのデザインとか含めて『流石にちょっと狙いすぎだろ?』とツッコミを入れたくなるレベルですが、当然ながら「イット」とは何の関わりも無い作品です。

 実際の中身の方も『ピエロっぽい姿の怪人が登場する(というか腹話術の人形っぽい?)』という意外は特に共通点もないですし、別に「イット」のパクリと誤認させなくてもそこそこ楽しめそうな内容の作品なので、ここまであからさまなパクリっぽいパッケージや邦題にしなくても良かったんじゃないかなぁ…
 (ちなみに原題は「BEDEVILED」)

 お話としては、『主人公や友人たちに、謎の急死を遂げた友人からアプリの招待が届くんだけど、そのアプリは実はインストールした人間たちに次々と怪異を引き起こし死に至らしめる呪いのアプリだった…』というような感じのストーリー。

 呪いのアプリは、いわゆる『グーグルアシスタント』のような会話型のAIアプリで、『呪いのビデオ』みたいな単なる『現象』ではなくて悪魔のような邪悪な『人格』を持っており、最初はユニークで便利なアプリのふりをしてるんだけど、使っているうちに徐々に正体を現して人間を襲い始めるというという設定は面白いです。

 『呪いのアプリ』の攻撃方法の『その人間が一番恐れるもの』の姿で現れるという設定も、ありがちながらも襲撃シーンのバリエーションが豊富で観ていて飽きない作りになっているのはなかなか良い感じ。

 主人公たちのキャラクターも割とシッカリと掘り下げられており、B級ホラーにありがちな無駄にイラつくキャラも居ないので、ドラマとしても普通に楽しめるレベルです。

 ただキャラや設定は面白いんですが、なんというか全体的に作り込みの甘さが目立つのが残念なところ。

 特にイマイチな部分が、『その人間が一番恐れるもの』の姿のを借りての攻撃にいま一つ映像に迫力がないという事。

 犠牲者が『恐怖のあまりショック死する』みたいな設定の割には、『その程度じゃショック死せんだろ?』っていうようなビジュアルとか演出の攻撃ばかりで、どうにも盛り上がりません。

 終盤で明かされる『呪いのアプリ』の正体もやたらと唐突な感じで、いま一つ説得力がありませんし、もうちょっとバックボーンの作り込みなりなんなりの説得力が欲しかったところ。

 ラストの対決とかオチもイマイチでしたし、全体的にもう一押しが足りない印象の残る作品でしたよ。


 総評としましては、悪くはない出来なんですが『どうにも物足りなさの残るオカルトホラー映画』って感じの作品です。

 アイデアやら設定にはそこそこ面白い部分も多いと思うのですが、全体的にちょっとアイデアを昇華しきれていない感じの内容なのが残念なところでした。
 とはいえ、そこそこ楽しめるレベルではあると思いますので、気になっているのであればチェックしてみても良いかもしれません。

 ただ、「イット」のパクリ映画的なノリに期待してると逆に肩透かしを食らいそうなので、そういうネタ映画的なノリには期待しない方が良いでしょう。