NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ドント・イット」(50点/オカルト)

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■■■「ドント・イット」■■■
(50点/オカルト)

 息子を何者かに殺害されたソフィアは、正体不明の犯人に超自然的な力を使って復讐するために、神秘学者のソロモンに依頼して『アブラメリン』という黒魔術の儀式を行う事となる。

 その儀式は、結界で囲まれた屋敷に半年以上に渡って閉じこもり、朝から夜まで苦行のような生活を送るうえに、途中で中断してしまったら術者にも危険が及ぶという恐ろしいものだった。

 ソロモンの不遜な態度や、なかなか効果の現れないことに疑問を持ちつつも儀式を続けた彼女は、やがて不思議な体験をするようになっていくが、彼女が儀式の『本当の目的』を偽って伝えていた事が原因で思いがけない事態を引き起こしてしまうのだった…



 幼い息子を何者かに殺害された女性が正体不明の殺人犯に対して黒魔術で復讐しようとする…というオカルトサスペンス映画。

 今週の「イット」っぽいタイトルの映画2本目の作品ですが、当然ながら本作も「イット」とは何の関係も無い作品です。
 「ザット」はまだ怪物の姿がピエロっぽかったりとか、それなりに共通点がありましたが、こちらはマジになんの共通点も類似点も無いのでこんなタイトルを付ける意味があったのかと…
 (ちなみに原題は「A DARK SONG」なので普通に「闇の唄声」とかで良かったんじゃ…)

 まあタイトルはさておくとして本作の内容に関してですが、魔術を用いて復讐を目論む女性が『魔術を成就するための儀式を行う様子』を描いたという、ちょっと変わった切り口のオカルト映画ですね。

 ちなみに、本作に登場するアブラメリン』という魔術は実在するもので、実際の儀式の方も6カ月に渡って修行を行うという大変なもののようです。

 お話としては、この『儀式』の様子が中心として描かれているのですが、6カ月間屋敷から出ないで儀式を行う様子が延々と描かれているため、なんというか全体的に非常に地味な感じの内容ですね。

 魔術儀式の雰囲気やらは良く出来ていますし、アブラメリン』という魔術への独自解釈みたいな要素もオリジナリティがあって、神秘学的な切り口でのアプローチとしてはなかなか面白い映画だとは思います。
 ただ、流石にたいした盛り上がりも無い儀式のシーンが60分ぐらい延々と続くのは、ちょっと退屈です。

 一応はオカルト要素以外にもシチュエーションスリラー的な要素も盛り込んだりしてお話を盛り上げようとはしていますが、単に『神秘学者が偏屈』で『主人公が強硬な態度を取ってる』って程度の内容なので、いまひとつ盛り上がりに欠けるんですよね…

 終盤にお話が動き出してからは、一気にホラー映画っぽいノリになっていき面白くなっていくのですが、こちらはこちらでお話がやや難解なのが困りもの。

 神秘学の儀式の内容の説明とか、主人公の過去にあった事件に関しての掘り下げが微妙に足りないせいで、ちょっと話が分かりにくくなっている感があるので、その辺のフォローがもうちょっとあれば良かったかも?

 ラストもやや分かり難い感じの投げっぱなしですが、ネタバレになってしまう覚悟で解釈を書くとしたら、主人公が本当に求めていたのは復讐ではなく赦しだったのかなぁ…という感じでしょうか?

 ちなみに映画を観終わった後で、アブラメリン』に関してネットとかで検索(守護天使に関する解釈とか)して調べてみると、ちょっと本作の内容に関して理解が深まるかもしれません。


 総評としましては、悪くはないものの『ちょっと地味で分かり辛い内容の雰囲気映画系オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。

 雰囲気やら独特のテイストやら良く出来ている部分もあるのですが、単純にホラーとして面白いかと言われると微妙な部分もあるような印象。

 題材とか雰囲気とかが気になるのであればチェックしてみても損は無い作品だと思いますが、『やや人を選ぶ作品かも?』ってのが正直な感想でしたよ。