■■■「シャーク・ショック」■■■
(45点/モンスター)
低所得者の住居エリアであるトレイラーパークに住むロブたちは、悪徳オーナーであるデコナーな厳しい家賃の取り立てに悩まされつつも、なんとかしてここから脱出しようと日々を過ごしていた。
そんなある日、オーナーのデコナーは土地を別の計画に利用するために、自然災害にみせかけて堤防を爆破し住民を追い出そうと画策。
堤防は爆破されてトレイラーパークは大洪水に見舞われ、生き残った住民たちはなんとか屋根の上に逃れるが、その際に湿地帯に入り込んでいた巨大なサメが、風力発電の装置で感電した事によって恐るべき『電気ザメ』へと進化。
生き残った人々を次々と襲い始めるのだった…
悪徳オーナーの陰謀によって洪水に見舞われたトレイラーパークの住人たちが、更に『電気ザメ』へと進化した巨大な人食いザメに命を狙われるという、モンスターパニック映画。
人食いザメと言えば、最近は地面にもぐったり、タコと合体したりと様々なバリエーションが登場していますが、意外と無かった『電気ウナギ』ならぬ『電気ザメ』に進化した巨大ザメが人々を襲うという作品ですね。
この手の『突然変異ザメ』のシリーズですが、地面や雪山に出現するという『行動範囲を広げる』タイプの進化は割と意味があると思うのですが…
『ゾンビザメ』やら『原子力ザメ』とかもそうでしたが、『攻撃力を高めるタイプ』は元々のサメ自体の攻撃力が高いので、いま一つ進化した事によるインパクトが薄い作品が多いんですよね…
本作の電気ザメも一応は電撃を使って攻撃してくるものの、あまり面白みの無い感じのシチュエーションが多くて、もうちょっと見せ方に工夫が欲しかったというのが第一印象です。
(せっかく電気攻撃を使えるんだから、電子機器を破壊して船を沈めるとかセキュリティを突破するとか…)
まあ電気ザメの個性の見せ方に関しては不満はありますが、それを除いて単純にサメ映画として考えるなら、まあまあ『普通レベルのサメものパニック映画』という印象ですね。
お話としては、『悪徳オーナーの陰謀でトレイラーパークの住人が洪水に巻き込まれて孤立し、更には巨大ザメまで出没する』という感じの展開なのですが…
普通は主人公たちがそんな窮地に追い込まれたら盛り上がるものなのですが、この事件に巻き込まれるトレイラーパークの住人たちがまさに底辺の『ごく潰しのクズぞろい』といった連中ばかりで、サメに襲われても特に心が痛まないためにどうにもいま一つ盛り上がりません。
そもそも、サメが『電気ザメ』になった理由も、主人公たちが風力発電の装置から勝手に電気を盗もうとしていた事が原因なので、自業自得過ぎて同情の余地があまりないのも困りもの。
一応は、トレイラーパークを潰そうとするオーナーは更に極悪な性格に描かれているのですが、被害者側はもうちょっと好対照な設定にしても良かった気がします。
電気ザメも『電撃攻撃』を使ってくるという個性を持っているものの、そもそも相手が水中に居ないと効果が無いので『水中に居る相手なら普通に噛みついた方が速いよね?』というようなシチュエーションが多く、あまり個性が活かされていないのが残念なところ。
むしろ人間を襲う時に、矢鱈と『もぐもぐしながら噛みついてくる』のがなんか可愛いので、そっちをメインに見て欲しいレベルです。(笑)
ただ作品の個性やキャラクターとしてはいま一つな部分が多いものの、基本的にお話のテンポは良いですし、襲撃シーンや見どころもそれなりにある感じ…
サメのCGは浮いてて違和感はあるものの、まあ観れなくはない程度のレベルですし、CGの割には人間との絡みも多めで頑張っている印象は受けます。
サメとの対決とか退治の仕方とかも意外性のある展開でそこそこ面白いですし、その辺は全体的に悪くはないんですよね。
『電気ザメ』という個性をもうちょっと活かして、盛り上がる内容になってれば良い感じになったと思うので、そういう意味ではちょっと残念な感じの作品でしたよ。
総評としましては、及第点レベルではあるものの『いま一つ盛り上がりに欠けるモンスターパニック映画』という感じ。
単純にB級モンスター映画としてならまあまあ楽しめるレベルではあるのですが、タイトルや設定が『ネタ映画』寄りな割には、ネタ映画として観るにはちょっとパンチが弱いのが残念なところですよ。
まあ普通に観れる内容にはなっているので、気になっているのであればチェックしてみても良いのではないかと思います。