■■■「ゲット・アウト」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)
ニューヨークに住む黒人カメラマンのクリスは、ある週末に白人の彼女のローズの実家へと遊びに行く事となる。
いまだに黒人への差別心の強い田舎町という事もあり、不安を抱きつつの訪問だったが、精神科医だと名乗る彼女の両親は彼を過剰なまでに歓迎してくれて、逆に少し鼻白まされてしまう事に…
翌日の『亡くなったローズの祖父を偲ぶパーティ』へと参加する事になった彼は彼女の実家へ泊る事になるが、彼女の実家に勤める黒人の使用人たちが、時折まるでロボットのように異常に不自然な態度を取る事に違和感を感じる。
更には翌日に出会った近所の住人の黒人までもが、同じように不自然な行動をしていた事から、黒人たちが何らかの方法で洗脳されているのでは無いかと疑いを抱くようになるが…
白人の彼女の実家を訪問する事となった黒人の男性が、そこで田舎町に隠された恐るべき秘密を知る事になるという、サスペンススリラー映画。
『インシディアス』シリーズでお馴染みの、ジェイソン・ブラム率いるブラムハウスの新作で、あいかわらずジェイソン・ブラムらしいなかなか捻りの効いたサスペンスに仕上がっています。
お話としては、『黒人の男性が田舎町に住む彼女の実家に遊びに行く事になるんだけど、そこで出会った黒人の使用人たちの様子がどうもおかしい事に気づき、精神科医で催眠術の得意な彼女の両親によって洗脳されているのではないか…と疑問を抱くようになる』という感じのストーリー。
全体的にまったりムードな田舎町での生活風景のなか、『徐々に違和感が積み上げられていく』というタイプのサスペンスなのですが、謎の提示の仕方やら不気味な雰囲気の演出の仕方やらがなかなか良く出来ていて、いい感じに『全編に気持ち悪さの漂う作品』となっています。
田舎の『牧歌的な空気』と、その裏に漂う何か秘密のありそうな『異様な雰囲気』が非常にマッチしており、観ている人間の不安を掻き立てるような構成が上手いですね。
サスペンスだけあって、あまり内容について書くとネタバレになってしまうので詳しくは書けないですが、単なる『洗脳』を題材とした作品と思わせておいて、『その実は…』って感じの一筋縄ではいかない展開が仕込まれているのもサスペンスとして捻りが効いていて面白いです。
また『不気味な雰囲気映画』だけで終わるのかと思いきや、終盤の怒涛の展開はなかなかパンチが効いた内容で、最後までどういう結末を迎えるか先の読めない感じで楽しむことが出来ましたよ。
ただ面白い作品ではあるのですが、最初の方でも書いたように全体的にまったりムードが漂うノリとなっているため、お話が動き出す終盤まではちょっとダルい感じのノリになっています。
また、逆に終盤は展開が唐突過ぎて良い意味でも悪い意味でも『えっ!?』って感じになってしまったので、途中に謎解き的な要素がもうワンクッションぐらいあっても良かったかなぁ?
あと、電話で話をする『主人公の友人』との会話や展開が若干が分かり辛かったのも気になったかも…
総評としましては、なかなか捻りの効いた『面白いアイデアと題材で作られたサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。
ジェイソン・ブラムらしいパンチの効いた作品なので、ブラムハウスの独特のノリが好きな人であれば間違いなく観ておいて損は無い一本だと思います。
そうでなくともサスペンスとしても普通の面白い内容なので、気になるのであれば割とオススメの作品ですよ。