■■■「ホーンテッドテンプル~顔のない男の記録」■■■
(50点/オカルト)
アメリカ人のジェームズは、恋人のケイトとその幼馴染のクリスとともに、日本へと旅行に訪れる事になる。
日本文化オタクのクリスの希望で寺社仏閣を巡る事になった彼らだが、旅先で偶然入った骨董屋で『語り部』と書かれた奇妙な古書を手に入れた際に、その書物に書かれた古い寺に異様に惹かれてその場所を訪れてみる事となる。
栃木の山中にその寺があると知った彼らは、地元の民宿に住む少年の案内でその場所に向かう事となるが、その場所はかつて何人もの子供が『神隠し』にあい、今は既に廃墟と化しているといういわくつきの場所だった…
日本に訪れた若者たちが、偶然手に入れた古い書物に描かれた廃寺に訪れてそこで恐怖を味わうという、欧米製で日本が舞台のオカルトホラー映画。
海外のホラーで日本が舞台という作品というと、実は別の場所で撮られててトンデモな設定や世界観だったりする事が多いのですが、本作は制作に日本のスタッフが多く関わっている事もあってか、割とキチンと日本の田舎町を舞台に描いたホラー映画になっています。
(ちなみに舞台は栃木県の田舎の山村のようです。)
本作の良い点は、とにかく日本の田舎の風景の不気味さがシッカリと描かれているという事。
古びた民宿やら廃寺、寂しい山中といったどこか不気味さを感じさせる場所が非常にリアルに描かれているんですよね。
こういった海外作品で『古びた日本家屋や昔の日本文化の不気味さ』をキチンと描いた作品って殆ど無かったと思うので、その部分に関しては非常に良い感じの雰囲気の映画という印象。
ただ映像の雰囲気は良い感じなのですが、オカルト映画として見ると正直言って微妙な内容といったところなのが困りもの。
ストーリーのノリとしては、『都市伝説』というか『ネットミーム系のホラー』がベースとなっており、いわゆる少し前にネットで流行った『ホン怖』系のお話(くねくねとか姦々蛇螺とかそういったノリの話)をそのまま映画にしてしまったような内容。
まあネットミームをネタにするのは良いと思うのですが、なんかネットミーム系の作品の悪い部分もそのまま映画化してしまったような感じで、どうにも色んな部分が中途半端なんですよね。
お話の背景として、『廃寺』と『謎のキツネと女性の石像』とか『過去の子供たちの行方不明事件』とかが出てくるのですが、どれもたいして深く語られる訳でも無く、何らかの謎解きが行われる訳でも無しで、お話の盛り上がりがどうにも中途半端です。
メインのストーリーも、ヒロインを中心とした主人公たちの三角関係が描かれてたりするのですが、そっちも投げっぱなしでコレと言った掘り下げも行われず結論も出ないような展開。
和風の不気味な雰囲気は良いものの、終盤まで特にコレといった事件も無いままダラダラと続くシーンが長くてちょっとダレてしまいますし、オチに関しても少年の霊と廃寺と主人公たちの関連性も良く分からないままで投げっぱなしですし、観ていてなんだかモヤモヤしてしまいました。
もうちょっとストーリーの骨子となる部分がシッカリと作られてれば、そこそこ観れる内容になっていたと思うので、なんとも残念な感じの作品でしたよ。
総評としましては、『どうにも物足りなさの残るオカルトホラー映画』というのが正直なところですねぇ。
日本の寂れた田舎の風景や廃寺の風景やら雰囲気としては悪くない部分も多いのですが、それ以外の部分がイマイチすぎる感じなので、『海外映画で日本の不気味な風景を忠実に表現した作品』という点に興味があるのであれば観てみても良いかもしれません。
まあ全体的に物足りないというだけで、そこまで酷い出来の作品という訳でも無いので、予告とかを観て気になっているのであればどうぞ…という感じでしょうか?