■■■「ジャッカルズ」■■■
(40点/サスペンス)
1983年のアメリカ。
カルト教団に入信した息子を取り戻すために、父親のアンドリュー、母親のキャシー、兄のキャンベルらのパウエル一家は、息子の恋人のサマンサと共に、カルト対策の専門家のジミーの協力を得て息子のジャスティンを教団から拉致し、取り戻す事に成功する。
息子の洗脳を解くために人里離れたロッジに監禁し治療を開始した彼らだったが、息子は自分の事を『タナトス』だと名乗り両親や恋人の言う事にも一切耳を貸そうとしない。
更には、息子が入信していたと思われる仮面を付けたカルト集団の『ジャッカルズ』が彼らの元へと襲来。
集団でロッジを取り囲んで、彼らをいたぶるように攻撃を開始し…
息子を不気味なカルト集団から取り戻そうとした家族が、逆にカルト集団に包囲されて窮地に立たされてしまう…という、サスペンススリラー映画。
いわゆるサイコなカルト集団の恐怖を描いた作品で、この手の映画にありがちな『実話をベースとしたフィクション』だそうですが、特に有名な事件がベースとなっている訳でもないので、どの辺りまで『実話』がベースとなっているのかは不明です。
お話としては、『とある家族が、怪しいカルトに入信した息子を取り戻すためにカルトの元から息子を拉致してくるんだけど、逆にカルト集団によって包囲されて窮地に立たされてしまう』みたいな感じの展開。
『カルトの元から息子を拉致してきて洗脳を解こうとする』という設定はなかなか面白いと思うのですが、なんというかそれ以外の部分がどうにも中途半端で微妙な作品です。
全体的にストーリーの流れがダラダラしすぎで、息子の洗脳を解こうとする際に家族関係の背景なんかが語られて、一応はそれが人間ドラマ的な構成になっており過去に家族の間で色々とあった感じの設定が語られるのですが…
ぶっちゃけ、この『両親が離婚して子供を顧みなかった』みたいな設定がたいして深いおでも無いうえに、内容的にもどうでも良さ過ぎて全く盛り上がらないため正直言って観ていてダルいです。
(というか、ラストで一番のキーマンとなる『息子の恋人とその赤ちゃん』に関する掘り下げが無いのは、どう考えても脚本のバランスが悪いと思う…)
中盤のカルト教団が登場してからはちょっとはお話が盛り上がるのですが、『動物のマスクを付けたパンクっぽいカルト教団』のデザインはそこそこカッコ良いものの、ハッキリ言ってそれ以外の見どころは全くなし。
教団が登場してからはちょっと『ホームインベージョンもの』っぽい展開になるのですが、この教団がどういうふうにヤバい連中なのかも殆ど語られないうえに、殆どのシーンが『山小屋を取り囲んでウロウロしてるだけ』なので、いま一つ危機感が感じられずにスリラーとしてもどうにも盛り上がりません。
カルト教団の攻撃もそこまで狂気のようなものが感じられないですし、家族の関係の描き込みが浅いために洗脳された息子を中心とした人間ドラマとしても弱いですし、どうにも中途半端です。
終盤で息子がちょっとだけ正気を取り戻したようになってマトモっぽい展開になるものの、その切欠も良く分からないうえにラストも何が言いたいのか判然としないような展開ですし、パッケージに『史上最悪のバッドエンド』とか書いてある割には、オチもパンチが弱いですし、どうにも『胸クソ悪い系映画』としてもスリラーとしても物足りなさの残る作品でしたよ…
総評としましては、色んな意味で中途半端で『どうにも盛り上がりに欠けるサスペンススリラー映画』って感じですね。
特にコレといって見るべき要素もあまり無いですし、『胸クソ悪い系映画』として楽しめるかと思って期待していたのですが、そっちも中途半端という塩梅で、何の印象にも残らないような作品でした。
壊滅的にツマんない訳では無いですが、敢えてオススメするような要素も無かったので、よほど気になっているのでも無ければ普通にスルーしてしまって問題ない一本だと思いますよ。