■■■「ショートウェーブ」■■■
(60点/サスペンス)
宇宙からの短波を研究するジョシュとその妻のイザベルは、2年前に何者かに娘を誘拐されて失ったショックから立ち直るために、人里離れた丘の上にある研究施設に引っ越してくる事となる。
新たな環境で短波の調査と研究を行うジョシュとその同僚のトーマスは、新たな環境で調査を開始した甲斐があって長年探し求めていた『宇宙からの謎のシグナル』の発信源を遂に突き止める事に成功。
しかしそれと時を同じくして、イザベルが奇妙な幻覚や幻聴に悩まされるようになっていった事から、ジョシュは謎のシグナルがイザベルの脳と共鳴しているのではないかと考えて調査を開始するが…
『宇宙からの謎のシグナル』を研究する科学者とその妻が、遂に発見した『謎のシグナル』の影響で恐るべき事態に巻き込まれていく…という、SFサスペンス映画。
いわゆる『電波系』というか、そのものズバリの『謎の電波』を題材としたSFサスペンス作品ですね。
お話としては、『とある夫婦がついに「宇宙からの謎の電波」の発信源を突き止めるんだけど、それと同時に奇妙な幻覚に悩まされるようになっていき、やがてその電波には恐るべき秘密がある事が判明する…』みたいな感じの内容。
電波系だけあって、次々と『妄想』やら『幻覚』やらが現れるという感じの独特の世界観やら演出やらが良い味を出しており、雰囲気映画的なテイストが強い作風ですね。
まさに、良い意味でも悪い意味でも『電波っぽい映画』になっている印象。
高角レンズで撮ったような独特の映像表現やら、妄想世界でのフィルターがかかったような演出やら、いかにも幻惑的な映像手法は面白いですし、思わせぶりな謎の提示やら伏線の仕込みやらも『電波』らしさを良く出している感じなのですが、やや『電波成分』が強すぎてお話が少し難解なのは辛いところ。
特に序盤はお話の全体像が全く見えてこないため、意味が分からなさ過ぎて観ていてちょっと辛いです。
お話の後半で謎解きが行われてからは、だいたいの伏線やら設定やらは解説されたり回収される作りにはなっているのですが、導入部分でももうちょっと分かりやすい説明があっても良かった気がします。
(伏線どころか『主人公たちが何を研究しているのか』すら分からなくて、ちょっと混乱しました。)
また終盤からの怒涛の展開はなかなか予想外な内容で面白いのですが、序盤が『謎の提示』に徹している感じの構成なせいもあって、ちょっと退屈に感じてしまったのは残念なところかなぁ?
もうちょっと、興味を惹くフックとなるような何かがあっても良かったかなぁ?
あと、主人公が『2年前に娘が誘拐されて行方不明になった』という設定なのですが、『2年程度で娘の事を諦めて環境を変えるために引っ越す』って設定は流石に無理がある感じで、ちょっと違和感を感じましたよ…(一応は終盤で回収される伏線ではあるんですけど…)
この辺はもうちょっと説得力のある理由付けの設定があっても良かったんじゃないかと…
総評としましては、ちょっと電波成分は強めなものの『まあまあ良く出来たSFサスペンス映画』って感じの作品ですね。
独特の雰囲気といい意外性のあるストーリーといい、個性的でなかなか面白いテイストを持った作品だと思うので、SFサスペンス的なノリが好きな人であれば普通に楽しめる一本という感じではないかと…
雰囲気映画的な要素が強いため万人にオススメはしづらいですが、気になるならばチェックしておいても損は無い映画だと思いますよ。